真璃

『愛の嵐』
ホワイトデーね!
お返しがもらえるのかなって
期待してしまうのは
ちょっとはしたないけれど──
でもやっぱり
楽しみなんだもの!
お菓子って言うのがいい感じなの。
あげるほうも、もらうほうも
うれしいに決まっているし
愛情を込めようと思えば
相手の顔を思い浮かべながら考えることだってできるの。
愛の聖人として名を残した
聖バレンタインは
さすがね!
気の利いたことを考えたものよね。
え?
お菓子を贈る習慣は
聖バレンタインが考えたわけじゃない?
ふふ──
フェルゼンったら
細かいことにこだわりすぎよ。
かわいいわね。
マリーはただ──
お祭り騒ぎを楽しむために
口実を用意しただけなのよ!
前世の時も、おそらくその前も
さらに前の前の前も──
きっと何度生まれ変わっても
マリーは変わらず
フェルゼンを愛し、
そして愛を伝えることのほかには
何もできずに生きてきた。
あの革命の時代では
許されぬ罪だったのだけど──
こうしてフェルゼンの家族に生まれ
もう六歳にもなったマリー。
恥ずかしがったり
怖がっているなんてこと
ちっともできはしないわ!
フェルゼンに愛を伝える時も
そして応えてもらえる時も──
とにかく楽しまないともったいないと思うの!
でなかったら
こうして出会わせてくれた運命の神様に申し訳が立たないんだから。
あ、でも
この家に家族として生まれたことで──
前世までに知らなかった
しょうしょう太るほどの
お菓子の食べ過ぎという罪を知ってしまったの。
明日からの運動はがんばるわ──
マリーが美しくあるためなら
フェルゼンもきっとつきあってくれるわよね?