吹雪

『再現性』
青空の豆まきが
うまく山の天狗まで
届いたようで──
今日は風が収まり
穏やかで温かい日になりました。
二月になってから
日々を重ね、
もう春になったような日差しも
ときどきは
私の姉妹を楽しませているようです。
しかし天狗の風に対抗するとは
どんな本にも書いていないことでした。
何事もやってみるものだと
感心している霙姉と──
ただの偶然だと主張する氷柱姉が
日向で議論をしています。
いくら同じ条件下で
もう一度繰り返しても
効果は期待できない、
迷信に頼るのは
科学的ではない──
しかしそれを言うなら
節分だってあまり科学的根拠はないし
鬼もいない──
おそらく、いないと思います。
それにしては
毎年ある程度の
豆まきの効果は見られ、
楽しい穏やかな日を
過ごすことができている──
毎日でなくとも
人間の生活に得難い
貴重な時間を見つけられたと
いうのであれば、
来年もまた
同じようにしてみんなで
科学的根拠のないことを
繰り返しているかもしれません。
あの暖かな縁側で
氷柱姉の膝枕を狙って
小さな妹たちはいたずらをはじめたようです。
おねだりすれば
聞いてもらえることもときどきありますから。
成功率の高さは考えず
試してみる価値はあると考えているのでしょう──
わたしがあの少し騒がしい場所で
これから読もうと思っているのは
観月から借りた妖怪や古い言い伝えの本です。
まだ知らないことがたくさん書いてある
どっしりと重みのある一冊。
確実ではないですが──
役立つ何かの知識が得られることを
期待しましょう。