ヒカル

『かぼちゃが届いたよ』
今日もキッチンには
次から次へと
かぼちゃが運び込まれる。
大人数のお手伝いも揃い、
青空が、虹子が、さくらが、
観月が、マリーが
一列になって──
それぞれの手にちょうどいい大きさの
かぼちゃを連れてきた。
実は、これは
ハロウィンで使う分とは
また別に、
かぼちゃがおいしくて
お買い得な時期だから。
この季節に家の中がカボチャであふれることは
私たちが小さいころからも
よくあったんだって。
その時には、私もちゃんと
お手伝いができたんだろうか。
あんまり覚えていないんだけど──
昔のことを聞くとどうやら、
春風や蛍が張り切って
汗をかきかき
かぼちゃを運ぶところへ──
面白がって追いついては
代わりに運ぼうとするのが
私のお手伝いの様子だったという。
春風が言うには
いつも大変な時に駆けつけて
必ず助けてくれる王子様!
だったそうだ。
そういう、昔のお話。
今、我が家に新しくやってきた王子様はというと
食いしん坊がいけないのか
ひとまわり大きなカボチャを
よく運んできてくれたな!
大変だっただろう。
助けに行ければ──よかったんだけど
キッチンの方も硬いカボチャを相手にするから
自由にさせてはもらえなかった。
これではまるで
今では私の立場はどちらかというと
捕らわれの──
まあいいや、考えてもしょうがない。
そういうわけで今夜は
かぼちゃの豚汁が出てくることになっている。
王子様の食卓には似合うかどうか知らないが
愛情をこめているのを
すぐそばで見ているから言える。
おいしいのは間違いない!
だいぶ夜も寒くなってきたこの頃、
たくさん食べて栄養をつけるまで
決して逃がさないからな。
よく温まっていくんだぞ。