春風

『寒い日』
肌寒い日が
続きます──
小さい子たちは、体も弱くて
風邪をひきやすいし、
なにしろ寒さに気づかないで無茶をしやすいし──
せめて春風の目の届くところでは
暖かくしてほしいと願っています。
春風にできることも
そんなに多くはないんだけど──
服を着せようと追いかけていたら
あっというまに逃げられて
そのまま見失ってしまう──
くすん。
春風も子供のころは
すばしっこくて
逃げ回っていたと
海晴お姉ちゃんは言うけれど、
本当でしょうか?
不思議なくらいです。
でも、自分にできないことで
嘆いていてもしょうがないものね。
また、よく晴れた運動日和がきたときにでも
ヒカルちゃんを誘って体を鍛えるということにして
今日みたいな曇りがちの日は
別の作戦を
考えることにします。
子供たちも──
そう遠くには行かないと思うから。
となれば、匂いで誘って
いっぱい食べさせて動けなくするのが
春風の技で考えられる
現実的な手段ではないでしょうか、
頭をひねって出てきた
そんなアイデア
いい香りがしてみんなを呼べるものと言ったら
カレーがいいかな。
甘口が好きとか
大根と白菜を入れてほしい子がいたり
みんなが寄ってきてうるさくなるものです。
なんだかまるで
魔女が秘密の薬の調合で
狙った子供を誘うかのように──
春風はカレーを作る。
ほんのり額に汗を浮かべながらの労働。
暗くなりかけて雰囲気のある時間に
キッチンの隅で重ねる秘密──
うまくターゲットを釣り上げられるかはお楽しみです!