春風

『恋の病』
私のただ一人の王子様は
ゴールデンウィークの予定は
もう立てているでしょうか?
お出かけの計画をママや海晴お姉ちゃんと話し合っているなら
すでに行く先は決まっているのかもしれない。
ことによると二人の一生の思い出になりそうな
そんな大事な話を
春風がいないところで決めてしまうなんていけません!
やっぱりまだ頼りない?
霙お姉ちゃんはあんなふうに神秘的に見えて
わりと本心を隠さないほうでもあり
家族のことをお任せするには少し不安があるので
その一つ下の春風なんて
まだまだです、という見方が
あるのかもしれないですが。
年が近い妹のヒカルちゃんだってまだ全然子供っぽいところが残っている。
愛らしい二人の間で春風は
大人になりきれない夢見るお姫様みたいに
思われているみたいだけど
とんでもないことです。
信じられません。
全然ほんとうじゃないわ。
きっと春風がかわいいお仕着せが似合うからそうしておきたいだけなんです。
近づいて触ってみればわかるの。
わかるでしょう……?
みんな思い違いをしているって。
でも本当の姿は王子様だけが知っていればいいからかまわないのかな?
ともかく!
楽しみがいっぱいの重要なことならなおさら、
私たちはどんな些細な気持ちも伝えあい
何も隠し事をしないで
全てをさらけ出す二人だと
誓えたらいいなあって
春風が一方的に思っているわけじゃないですか!
だから少しだけ、何でも話してほしいなあって思っている気持ちを
心の片隅にでもとどめておいて
たとえば荷物などで手が空かなくて助けが欲しいときや
一人でいるのが寂しいとき、
そして連休を迎えようとしているときに
ただ期待している気持ちを話してくれるだけだっていい。
ちらっ
と一瞬でも王子様が私のことを思い出してくれたら
すぐに気がついて
なーんだ!
そのつもりなら話は早いですね!
全てを捨てて飛び込んでいく体をたちまち抱きしめてもらって
これから続く曲がりくねった長い道のりを支えあっていくために大事なもの
すっかり取り揃えていますから!
愛情一つだけ持ってまいります。
あなたが私のことを気にしてくれたから
すぐにわかりました……
そんな無茶を言ってみたい春風じゃないですか?
実際は視線になかなか気がつかないもので
目が合っただけでは
バクーンって心臓が飛び上がっても
もしかして!?
いや、気のせいかも……
もじもじしてしまうくらいだから
ええと、
好きなら好きって
言わなくては、ですね。
あの……
好きです。
好きですから!
これから気候はますます気持ちが良くて
吹く風を吸い込むだけでも生き返るようで快適な時期、
どこかに旅行に行けたら楽しいね、という話は
みんなともよくするんだけど
実際はまだ決まっていない気配が
けっこうしますね……
希望はまだまだ
通りそうですね!
夢をあきらめないエネルギー、
ときどき勝手に出てきてしまいますね。
春風はほら、
草津の湯でも治せない病を
本当かしら?
試してみたいのと
湯上りはしっとり艶やか美人になれるかも?
有名どころの温泉効果も相まって
治らないなら
いっそのこと──
なんて、よろめく二人を演出してくれそうではないかしら。
まだまだ言い訳がほしいときがあるのは
子供の証拠なのかもしれませんね。
いつでもまっすぐあなただけを信じていけるように
どうか春風を大人にして──
というほどの気合を入れた旅行も急な話だと思うのでいったん置いといて
わいわい大変なこともある
楽しみな家族旅行の機会がもしまたあったら
また今までのように
怖がりな春風の手をとってどこまでも導いてほしい、
王子様とだったら
見たことがない場所へでも行ける。
夢の中でもどこでも
その場所で私をお姫様にすることだってできるんです。
ああ、こうして計画を立てているのも楽しい時間ですね!
今日はとっても楽しいお話ばっかりでしたね。
もうすでに、いつか見た絵本のような夢の中にいるのかしら?
なんちゃって。
春風は王子様といられるなら、どこにいてもうれしいの。
本当に偽りのない思い。
ずっといつまでも、信じてくださいますか?