星花

『秘密のおはなし』
ひそひそ……
こそこそこそ。
実は最近、
小さな子供たちの間で
噂になっていることがあるんです。
夜中に見てしまった子がいたの。
海晴お姉ちゃんのお部屋の
閉まり切っていなかったドアの隙間から
聞こえてきた声──
あーちゃんのプレゼントは
準備完了!
青空ちゃんの分も
予定はできてる!
全員分のリストは完璧、
もうこれで──
クリスマスまでは心配いらないわね!
……
それを見ていた
マリーちゃんは、
海晴お姉ちゃんもときどき
サンタさんごっこをしたい時があるところが
かわいいって言ってました!
でも海晴お姉ちゃんでは
全員分のプレゼントが入った袋を運ぶのは
ちょっと大きすぎるかな、
なんといっても世界中の子供たちの分なんだから!
だって。
それからというもの
子供たちの集まる場所にはこそこそと
お姉ちゃんたちのプレゼントを用意してあげるごっこをする
小さいサンタさんがたくさんあらわれるそうです。
雪道を行くトナカイのそりに乗せて
真っ白な袋と夢とドキドキを
世界中に運ぶ日まで
あとどれくらいでしょう?
楽しみにしているみんなのために
夢いっぱいの袋の中に、
楽しいクリスマスが早くやって来る魔法でも入っていたらいいんだけど
結局、届くのは当日になってしまいますね。
雪の降る日は近づき
寒さも増してきています。
お兄ちゃんもどうか気を付けて!