小雨

『はりきり』
トントントン
グツグツ……
いいお味は出てるかな?
お兄ちゃん、キッチンへようこそ。
今のお料理番は小雨ですが
御用が務まるでしょうか?
お姉ちゃんたちが忙しい時は
小雨もこうしてお手伝いに立ちますが
教えてもらった通りに
みんなの役に立つお仕事ができているでしょうか。
おなかが空いた子がやってきたら
すぐにお好みのおやつを用意してあげたいし、
火を使う時は目を離してはいけないし
なにしろ小雨はのんびりしているので
このあとの用事も
寒くなって服がたくさん必要になる季節に
頼まれていた繕い物、
お掃除の手伝いに気が付いたところのお片付け、
洗濯物も晴れているうちにぱぱっと広げて
ああっ、それに忘れたらいけない
自分の宿題も遅くならないうちに済ませてしまわないと。
夜が暗くなるのが早くて
小雨はすぐ眠くなり、あまり夜更かしができないこのごろです。
日々忙しくて
気が付くと
時が飛んで過ぎ去るよう。
あと少しで可憐ちゃんにも会える楽しい日です!
一週間がこんなにあっという間なのだから
それは気が付いたら11月も半ばを過ぎ
年の瀬も近づいてくるというもの。
小雨はこの一年いったい何をしていたのでしょうか?
ばたばたあわてていたような記憶しかないというのに!
でも、毎日することがあって
落ち込んでいる時間もないくらい
こんな小雨でも必要としてもらえる家が
実はあわただしくても
小雨に合っていると感じる時もあります。
いけない!
お兄ちゃんが来てくれたというのに
小雨は自分の話ばかり聞いてもらっているみたい。
あの、小雨はいつもお兄ちゃんにお世話になっているんだから
たくさんお返しをしたいです。
いつも期待に応えられるか自信はないけど
今日も小雨はこの家で一生懸命です。