『ブラックカース』
どたばたと床を踏み鳴らし
今日も夕凪が踊っていると思ったら
ついに星花までつられたように手を握りながら回っている。
この分では吹雪までもが
陽気にくるくる回る日も遠くはないだろう。
かつて立夏が
小雨と麗の手を取って輪になるのと同じく
歴史は繰り返すと
この目で確かめることができるのだ。
思えば私も小さい頃は
ちょっと目を離すと
みんなを誘って踊りだしてもおかしくないくらい
何をはじめるか予想もつかない子だと
さんざん言われたものだ。
海晴姉の見張っている隙をついて
まだもみじのような手を小さな妹たちとつなぎ合わせたことも
一度や二度ではなかったに違いない。
包み隠すことを何も知らないみたいに
自分の気持ちに素直になることだけを知っていた
あの豊かな時代。
私はよく覚えていないけれど
それは愉快なものだっただろうな。
昔から子供たちを慰める
我が家の絵本には
姉妹の多くが手に取ったしるしの
指の跡や折れ目が見つかり、
誰もがその内容に従って
笛や太鼓が流れ
明るい気分になったら
タイやヒラメの踊りに合わせながら
明るく飛び跳ねることを覚える。
体に染みついた
面白さの表現は
もう誰にも止めることができず、
周りの目を気にして踊りをためらうことが増えても
何も変わらない。
きっと夕凪や星花には
愉快なことがあったのだろう。
ふむ、となれば
家族にいいことがあった日に
私たちが踊る理由がないと一体誰が言うのだろう。
ためらうことを知らない者たちのように、
そしてわずかばかりに周りの視線を気にしながら
したいようにするようにと
私たちはすでに決められているのだ。
たまにそんな気分にならないか?