夕凪

『わたしのもの』
お天気がついに良く晴れて
庭に出たとたん、
お外の全てが夕凪を待っていたとわかる。
こんなにいい日に
好きなだけ遊んでいいとなったら
そうなったらもう、
世界中が夕凪のものになり、
あらゆるお話の主役が
夕凪になる──
ここでは、なわとびも
百回も飛べるし、
歌を歌えば
天まで届く──
運動して、筋肉もついて
追いかけっこもする。
誰も追いつけない体力自慢の女の子が
ここにいる。
よかった!
こんなにうれしいのは
晴れたおかげだ。
だってさ、
くもったり
雨が降って外で遊べなかったら、
夕凪はどれだけ
さみしがるのか。
こんなに悲しいことがあるなんて!
お兄ちゃんに遊んでもらわないと
たまらない──
だから、楽しく遊べる
土曜の昼間だ。
快晴の休日だ──
夕凪が喜ばないはずないじゃないか!
こんなに
気持ちが良かったら──
お兄ちゃんも誘いたくなるに決まってる。
いちばんすばらしい遊びが
いま始まる──
こんな日に踊りだせば、
必ず上手で
かわいくて、
そして何より楽しいのだと
なぜか、動き出す前からもうわかっている。
行くなら今だ!
早い方がいい!
そして誰より最後におうちに戻るんだ──
暗くなるまで、まだまだ楽しいぞ!