『落日』
懐かしき栄光の日々は
今や、涙を流して広がる夕焼けの色。
全ては終末を迎える無常の掟。
こたつ王国は儚く崩壊した。
豊かで自由だった文化の園。
あれほど輝く笑顔に満ちていたのに──
思い出すと──
うーん、だらけた笑顔しか浮かんでこない。
ともかく終わってしまった。
嘆きの声が聞こえてくるようだ。
耳を澄ますと
ほら、外で遊んでいる子供たちの歓声がある。
……
私の目指した理想は間違っていたのだろうか。
だが、たとえ許されない願いでも、
決して叶うことがないとわかっていても
人間が見る夢を誰が止めることができるだろう。
今は──
私は敗れ、さすらう身となった。
自分の無力さに打ちのめされ──
身を絞る嘆きはいつまでも
悲しみの傷を癒すまでの果てしない時間を
栄養が大事だから甘いものでも食べながら過ごそう。
でもまあ、
こうなったのもあまり文句も言えないんだ。
何よりも大切なのは
こたつや安らぎの空間そのものではなく
そこで過ごす家族だからな。
節度を持ってこたつを利用しようとする意見が出たら
逆らうわけにも行かないんだ。
強引にことを進める春風は怖かったし……
がらにもなくこの私が策略家を気取ってみたところで
まあ、このあたりが潮時だ。
うーん、しかし冬の間に読むつもりで買い始めた三国志
結局まだ有名な諸葛孔明も登場していないのだ。
え? 出番はずいぶん先なのか?
そうか……
では、私の読書暦にまた甘美な敗北の傷跡が刻まれるのか。
春風や海晴姉をいいようにするどころか
まだ小さい星花さえも意気揚々と私を追い越していく。
やはりこたつを出て一から出直し、自分を見つめなおす時だろう。
誰にでも訪れるその時が私にもやって来るのだ。