吹雪

『ナンバーC』
2進法では1の次となる数字は0。
10進法では1の次には2があらわれる。
16進法であるならば
Fまで数えてから0に戻り、位をひとつ上として計算する。
つまり私たちが体験をして
ついに終わろうとしている今年の11月、
この11という数字は
2進法でいえば1011、
16進法ならBとなる。
それは次々と大変な騒ぎばかりで長いような1011であり
楽しくて短くも感じる1011であり
また、ついに一年の終わりを目の前に迎えたことを知る1011でした。
明日からは1100の月が始まります。
暦の表記として利用する例外的な処理で、この次は0001が
私たちのところに訪れるのでしょう。
泣いても笑ってもその数字は変わらない。
ただし、自分で暦を作る場合は別ですが
それは必要があればおいおい話し合うことにして
今は1月を迎える準備がはじまる前提で話をします。
さて、来月は
1100、という数字上の意味以上に
0001年の最後の月として注目されています。
早くも一年を振り返って
あっという間だったという声が
家の中のあちこちから聞こえるようになりました。
ただ、誰にも等しく365日は与えられて
奪うことも増やすことも人間である限りは叶わない。
まあ自分で暦を……いえ、それはともかく
12の月を数えるとき、
小さいさくらや虹子は言葉に出して確認しつつ
たどたどしく指を折りながらでないと難しいらしくて
結局、10まで指を折ったところで行き詰ってしまう。
一年を乗り越えるには、たった一人の力では不可能だと
教訓を読み取ってもいいですが
これを解決するべく2進法を取り入れる方法を見せました。
指を伸ばした状態を0、折り曲げたら1として
親指から人差し指のほうへ位を上げていくと
親指と人差し指を伸ばし、中指と薬指を曲げた形になり
片手で済むばかりか小指がまだ余っている。
両手で31まで数えられるようになりますから
一月分をさくらたちの小さい手のひらで形にできるようになる──
と、教えていたら
10まで達した後で指を開くことをさくらたちが思いつき、
このおかげで19までがわかるようになったと──喜んでいました。
20が0になってしまう数え方では私たちのきょうだいが揃わなくなってしまいます。
残念なことです。
前から思っていたのですが、私は他人に物事を教えることに向いていないように感じます。
実際はどうなのでしょう?
この質問には、さくらではまだ数えられない20通りの答えが返ってくると予想します。