『ハリウッド』
映画は好きか?
私もおそらく好きなほうだと自分で思う。
家にいても見ることができるし
途中で眠ってしまっても
一緒に見ていた人からあらすじを聞けばどうにかなる。
リビングにレンタルのDVDがいくつか置いてあったから
冬休みの退屈な時期にみんなとよく見たことを思い出しながら
返してきた。
後で話を聞いてみると
これからも寒さが続く予報の週末に
家でゆっくり見るために借りてきたばかりのものらしい。
そうだったのか……
それは悪いことをしたな……
時間を作った休日に
こたつに飲み物とお菓子を用意し
クッションにがっつり体を預けて
半分うとうとしながら
結局見ていなかった後半部分の内容を後でしつこく聞き出す
あの楽しみを奪ってしまったとは
申し訳ないことだ。
ちょっと眺めて
前に見たのと同じ映画だなと思い込みで勘違いしてしまったから……
それにしてもいつも
みんな真剣に見ているのを思い出すな。
食い入るように前のめりになり
ぐいぐい引きずり込まれて
まるで自分のことのように目が離せないで──
そんなに感情移入できる部分があるんだろう。
やっぱりときどきおねだりをしたり
怒っていないのにすねたふりをしてみせたりするときがあることを思い
熟練の女優たちの演技力に芸術性を感じないではいられないのか
それとも
純粋で真っ直ぐで
強くあきらめない登場人物たちが
必ず最後にはヒーローやヒロインとなって
誰かの心に深い印象を残していく場面に
人はいつも惹かれていくのか。
画面の中で力尽きかけ倒れようとする間際
うつむいてはっきりしない表情に
もうすぐ立ち上がる力が隠れていると
見つけ出したくて
あんなに目を凝らすのかな。
どちらにしても楽しさと共に残る感情が
私たちの糧になるのだろう。
寒さの中で代わりを探すとなると
困ったことになるな。
それでも責任を持って私が
良さそうな映画を借りに行かなければならないとしたら
どれがいちばん、難しいことや細かい理屈は関係なくまったり見られるかどうか
それを考えているのは──
のんびり家の中で過ごす
暖かな空間が
少し休みながらでも
できればみんなにとって
充実した良いものになるようにと
あんがい強く願っているからに違いない。