真璃

『アカデミック』
平日、ゆうがた
お天気はくもりがち。
雲の切れ間をめざとく見つけて
お庭でひたすら駆けまわる!
のも、いいけれど。
本当はそんな時、みんなそろって気分が盛り上がったマリーが先頭に立って
ついてこいーって導くのもよくある話なんだけど
家の中でおままごともいいよねって提案があると
それもなかなか
捨てがたいわ!
と、熱くなってしまう。
じゃんけんで勝った順に配役を決めて
夕凪お姉ちゃまがカメラマンで
さくらちゃんが新聞記者で
観月が社長で
マリーが仕事のできる社長秘書になったときは
これはお外で遊んだほうが良かったかしら?
不安になったりしても
その気になれば
何事も、なんとかなるものね!
裏のスキャンダルを狙われる社長秘書……
なかなかのドラマだわ。
こむずかしいノートをひっくり返すのも
まあ女王様にも地道な活動の下積みは必要だし
ぱっと見はなやかでないところから始まるのだってシンデレラストーリーの基本。
マリー、基本が好きよ!
奇をてらわない王道展開がなければ
こういうおままごともしっちゃかめっちゃか。
やるからには
やっぱり社長秘書になったら
さらに上へと段階をひとつひとつ積み上げて
トップである社長を目指さなきゃ、
みたいなね!
いつかフェルゼンの自慢の立派な女王様になるときにも
本当はにこやかな笑顔で手を振るよりも
書類の山に埋もれてお化粧を直してもいられない。
舞踏会のシャンデリアに照らされるダンスより
遊んで面白がってソファを抱っこしながら転がる子たち
いつかこんなふうに遊んでいる民衆を愛することこそ必要なお仕事。
マリーはそのあたり現実的なの。
たぶんそうじゃないかな?
踊りもお歌も上手になりたいけれど
きれいなステップで回転しながら
みんなが楽しむパーティの準備はあんまりできないでしょ。
あら、マリーはもしかしたら裏方のお仕事が向いているのかしら?
フェルゼンがいつかマリーと秘密を持っても
有能なレディはきっと誰にも知られずにしないから安心してね。
そのために今日は
帳簿に一日を記録するのがお仕事。
将来、歴史を調べる学者さんたちは
昔のお話にあるように
たとえ記録では子供がいないと思われていても
家計簿に赤ちゃんのミルクと記述があったら
それは秘密を持っていたあかし。
なんてそんなへまはしないよう
誠実に、丁寧に今日の記録をつけましょう。
パーティーの計画を予算からきっちりと立てるために
まずは算数のお勉強からはじめましょ。
いち、にぃ、さんし。
ひとつのりんごとふたつのりんごで
わがやのくいしんぼうさんたちのお皿の上には
あまくてまっかなりんごがいくつ必要かしら?
暗算しなきゃ!