夕凪

『ぜんぶ』
夕凪だよ!
きゃー!
お兄ちゃん、
きいてきいて、
夕凪の話を
全部きいて!
わだいの数は
ひゃく、
にひゃく!
夕凪ってまいにち
いろいろあるでしょ?
ころんでもへこんでも
平気でしょ?
とっても丈夫にできてるから。
ちょっと叩いたくらいじゃあ壊れないって
よく言われるの。
あ、でもね、
叩いたら痛いから
体が丈夫だからって
試さない!
女の子は
からだを大事にしなくちゃ。
男の子は
格好良く
さらいに来なくっちゃ。
だからね。
今日あったこと
木の実を拾ったこと、
おいもが熱かったこと、
帰り道の柿の木に実がなっていたとか
おさとうの箱をひっくり返したとか
鼻のあたまを打ったとか
木登りして
すべって
それでもって
横断歩道の旗を
バトンみたいに回したり
一年生の子に、マホウ使いのお姉さんだって
見抜かれたり
追いかけられたり
追いかけたり
お兄ちゃんを見つけたり
見間違いだったり
いろいろあったから
どれから書こうかなって
鉛筆を転がして考えていたら
で、鉛筆の横にいたずら書きした字が
新しいマホウのひらめきをくれて
今まで叶わなかった願いだって
流れ星がいっぱい降るみたいにすぐだと思ってたら
転がしてるだけで
もう良い子は時間!
いつの間に!?
日記に書く順とか
考えてる暇なかったよ!
夕凪はやっぱり
ノートを広げてじっくり考えるのは
ほんの少し苦手なタイプの
行動が先に出る
天才型の
かわいいマジシャンだなと思いました。
まる。
もう時間だけど
お兄ちゃんに聞いてほしいこと
ちっとも書いてないよ。
これじゃあお兄ちゃんだってさみしい?
夕凪のこと全部聞いてあげなきゃ
とても気になって眠れない?
そうだよね!
夕凪も寝る前は
もっとお兄ちゃんといたいのに、って思うんだもの。
お兄ちゃんだって
気持ちがかんぺきにシンクロ、
なにもかも同じ心のはずだよね。
体もだいたいよく似て生まれた
家族だし!
だから夕凪は
さみしいならもちろん解決したいから
明日も日記を書くと
決めました!
他の子の順番が後になっちゃっても
さみしくないくらい
みっしり中身が詰まった
充実しまくり夕凪の愛を
明日もきっと
心を込めて届けるから
楽しみに待っててね。
ひとりで
ひゃくにんぶんくらいの
大盛りの日常。
ぜんぶの気持ち
もっと知りたいって思ったら
ちゃんとお兄ちゃんも言葉に出して
みんなを説得してね。
じゃあ、今日はそろそろ
おやすみなさい!
明日も一日中
休んでる時間だってもったいないくらい
いろんなことがありそうだね。