立夏

『それでも伝えたいこと』
じゃじゃーん!
立夏は日記に書きたいことがたくさんある。
たとえば──
多すぎて言葉がなかなか出てこないけど!
あのねあのね、
立夏は麗ちゃんのことが大好きなの。
青空ちゃんが転んだ時に
てきぱき治療してあげたり
立夏がお手伝いを忘れた時に
文句を言いながらも代わりにやってくれたし──
ときどき、食べきれないからって
いろいろくれる。
それに何よりいちばんは
かわいいし
単純だし
すぐ逃げるから
追いかけたくなるところ!
ふたつも下の妹なんて──
考えていることが
手に取るようにすぐわかる。
よく晴れているから
遊びに行きたいな。
おなかがすいたな。
そんな顔を見た時には
電車デートに誘えば
すぐに元気になる。
細かいことを言ったりはするけれど
立夏は知っている。
ああ、立夏の妹は今
好きなことがいっぱいで
楽しいことがいっぱいで
何から話していいか
迷っているのだ!
なんでわかるかって──
なんでだ?
理由があるような気もするし、別にない気もする。
立夏は手をつないでお出かけするのがとっても好きなの。
麗ちゃんは手をつながないでお出かけしたいの──
おでかけ部分だけ寄り添って
ときどき一緒にいる二人だ。
麗ちゃんが逃げて──
立夏が追いかける二人だ。
ここで鍛えた追いかける技術が
将来──いや、いつでも役に立つ。
なにしろわがやにはいろんな子がいるからな。
怖がりだったり
鈍感だったり
愛されているのに気づいていなかったり
立夏は──何があっても大好きだというあたりまえのことを
なぜかまだ知らなかったりする。
だから、走って抱き着いて
ときどきおやつをもらったりしながら
教えてあげている途中だ──
話をしていたら、なぜかおなかがすいてきたな。
理由があるかもしれないし、別にない普通のことかもしれないな!