虹子

『はじまる』
どこだ!?
どっちだ!
おうちのなかを
かけまわり、
よいものをさがす
こどもたち。
ひとりは
すごろくを──
またひとりは
はしるくるまを、
そして
あのこは
だいこんおろしの
おろしがねを──
もうすぐ
きたかぜがつれて
やってくるものは
くらくて
さむくて
まっしろな
さむいふゆ。
どこもかしこも
ふゆのさむさで
もう、にげられない。
できることは
おうちにこもって
こごえないようにしながら
はるをまつだけ──
ほかには
なんにもない。
おそろしい
しぜんのおきて。
おにいちゃんも
おうちにいるんでしょ?
ずーっと
ふゆをすごす
いいものを──
いまのうちにさがしておかないと
ゆきがつもった
おうちのなかで──
なにもできないで
ふるえているだけ。
でも、すごろくや
おにんぎょうがあれば
おにいちゃんとずーっとあそんでいても
いいんじゃないかな。
ながくつめたく
じっとたえるしかない
ふゆのひを──
にじこは、おにいちゃんとあそんですごすの。
はやくこいこい、
ゆきのひ。
だれもおそとに
でていかない──
とくべつさむい
いちばんふゆのひ。
そうしたら、
にじこはあたたかな
ミルクとおもちゃで
ずーっとおにいちゃんと
あそんであげるの!
ふゆはもう
まどをあけたらてがふれる
すぐそこまでせまってきている──