『背中を守る』
休日ね。
みんながよく遊んでいる
テレビゲームを横から見ていると──
味方の背中が隙を見せ、
どこからともなく飛んできたかわいいしょうゆ入れ型のボムを
後ろから撃ち落して助けながら
協力して進んでいく場面がたまにあるわね。
やっぱり何事も
力を合わせ、助け合っていければ
それが一番強いのだと──
人間でも鉄道の部品でも
かっちりはまった組み合わせこそが
本来の力を充分に発揮する──だけでなく
二倍も三倍も活躍をするようになる──
と思っていたら、
まとまっているところを
遠くから飛んできた大きいインクの玉やら
広い範囲にインクを飛ばす縦振りやらチャージ後の連射攻撃などで狙われて
一気にワイプアウトに追い込まれたりするの。
人生と同じで、なかなか複雑ね。
ゲームだからってあなどれない。
そして、後方から一歩引いて
みんなの動きを見ながら助けに入るのは
何もゲームばかりではなくて
テレビのこちら側のうるさい子供たちが
寝っ転がって暴れたりお菓子を散らかしたりしたところに
さっと助けに入って
みんなが快適な空間を維持できるあの動き──
誰にでもできるものではないわ。
それでいて、鋭い観察眼と経験を重ねた無駄のない動きをする
達人はと言えば──
別に鷹のような視線を配るでもなく
穏やかな表情で、うれしそうにしている──
やっぱり、その道を極めた者は
普段の所作からして違うのね。
なんて──
自分だって、そのうち大人になればあんなふうに
助けに回れるようになるんだって
思うこともあるのに──
散らかしているのを見つけては
注意だけで済ませてあまり効果はないし、
かといって見つけてしまったら口を出さないわけにもいかないし
助けてあげられるほど器用じゃないし──
でも休日に落ち込んでいたって仕方がないわね。
明日からはまた学校よ。
寒い時期だから体には気を付けるようにして
毎日、自分のできることをがんばって
あとは──たまにさっそうと誰かの助けに入ったりできたら
ちょっといい気もするけど
できないことはできないかもしれない、として。
あとは夜更かしなんかしないで規則的な生活が送れたらそれでいいわ。
きっと、いろんなことを学んでいる途中かもしれないけど──
遅くまでゲームで遊んでいる子がいたら見逃せないからね!

星花

『旅の途中』
読みかけの本があります。
本当は、冬休みの間に
最後まで読み終わる予定だったんだけど、
思ったよりもむずかしく、
毎日も忙しく、
そして──なんだか
あまり自分の都合で期限を区切って
急いで読み終えたらもったいない
大事に時間をかけてみたいような、
でも、たぶん盛り上がるところまで行ったら
止められないでそのまま一気に──みたいになりそうな
そんな予感も少しするんだけど。
というわけで冬休みが終わった後の休日、
今日になってまた続きを読み始めています。
ゆっくり、大事に──
でも確かに進みながら──
これでは、結末を見るのは
いったいいつのことになるやら
今はなんとも言えないですね。
こんなに気に入った本が、
最後の方でやけに急ぎ足になったり
それまでと雰囲気の違う終盤の展開を迎えたりして──
たまにある、そういうお話だったらどうしようと
少し怖いところもありますね──
必ず守ると誓った約束を
結局は守れないまま終わって
そのお話がとてもキレイでも──なんだか心情的には寂しかったりして。
とはいえ、一番好きなシーンが
最後の盛り上がりでなくたって
大切なお話になって思い出に残ることは
いっぱいあるので──
怖がったり
もったいないと思ったりしながら
進めなくなるよりは──
とにかく
いってしまいましょう!
最後まで読んでからにしましょう。
その日が
いつなのか──
本当にやって来るのかも知らないまま、
読み終えた後に何が残るのかもまだわからず
ただ、あたたかな
希望だけを胸に
ページをめくる手はすすむ──
いつも繰り返していることのはずなのに
今日もまた、星花は胸をドキドキさせているのです。

吹雪

『未来について』
今日はくもりがちの寒い日でした。
こういう日があると
蛍姉や夕凪姉は──
晴れているうちに
もっとやっておくことがあった、
わかっていたら昨日のうちに
済ませておいたのにと──
布団を運んだり洗濯物を運んだり
掃除機を持ったり雑巾を持ったりしながら
駆け回り──
それはどうも、二人だけではなく
青空や虹子から、
氷柱姉や海晴姉まで、
寒くなって大変だ、
暖かいうちに
もっとああすればこうすればと──
言いたいことは
尽きないようでした。
キミも、寒い日は
大変なことも多いと思います──
私に何か手伝えることがあるといいのですが。
いろいろな場合の不都合があっても
昨日に戻ってやり直すのは
私たちが生活している今この毎日では──
知られている限り、誰にとっても不可能です。
夕凪姉が
マホウの研究の課題の一つだと
机に向って何か書いていましたが──
私の考えでは
マホウで実現するより
科学的方法──多くの場合には反証可能性の概念に頼ることによって、
実現するほうが先なのではないかと思います。
といっても、経験則で
マホウよりも科学的アプローチで成功する場合が多いという知識が
根拠となるので
断言することはできないのですけれど──
私が科学的方法について情報が多いこと。
現代科学では、
昨日に洗濯物を干すために
向かうことはできないけれども──
そして、可能になったとして
コストが見合うかどうかの点で実用が進むかどうかもわからないですが。
ただ、不可能はいずれ
可能になるということは──
科学の歴史でよく起こるので、
いつかは、今はできないことも──できるようになるのでしょう。
年が明けて間もない時期なので、
今年のうちに可能性が見えたらと
もしできるのだとしたら、
そんなことがあったらいいですね──
この期待は科学的アプローチではなく、
経験則からでもなく
理屈で説明できない願望によるものです。
だから、それまでは
地に足の着いた方法で、
私の知る限りの方法で
できることをする以外に、毎日を送る方法はないのでしょうね。
お手伝いをします。
みんなの体が温まる料理を作ったり、運んだりする用事が
増えているのは
困る場合もありますが。
少し苦手です。

『新しい日』
今日も良く晴れて
暖かくて──
よかったですね。
こういう日は、
学校でお勉強ばかりじゃなくて
何をするにもいい一日。
放課後は早めに下校して
お買い物に時間をかけたり──
寄り道しないで、掃除や洗濯を済ませたり、
もしも学校がなければ
布団を干したりもできたり
少し遠くのお店へ
足を伸ばしたりもできるんだけど──
さすがに、学校を抜けだしたりすると
大人として、小さい妹たちに
しめしがつかないですから。
そこはがまんします。
でも──もしも、蛍が一番下の子で
誰にも気を使わない自由な身だったとしたら
学校を飛び出してやりたいことをしていたのでしょうか?
なんだか、まったく
想像ができないですね。
かわいいみんながいない蛍の生活なんて──
でも、夕凪ちゃんも昨日は
お兄ちゃんにお話を聞いてもらえてうれしい、
お兄ちゃんがいない生活なんて想像もできないって
言ってたから──
不思議ですね、お兄ちゃんがいない日のほうが長くて
大事な人が後からやって来るなんて考えもしなかったのに、
もうすっかり──お兄ちゃんがいなくちゃいけないんだもの。
想像もできない生活だって
慣れていくものですね。
蛍は──小さな妹がいなかった自分より
お世話をする人が増えていく生活のほうが
想像して楽しいような気がします。
だから──早く帰ってお布団を干すのはがまん。
それは休日のお楽しみですね。
晴れるといいな──
今日は、暖かくてお買い物がはかどり
少し多めのおやつを作りおきする余裕もあり──
蛍が元気なうちは
おうちの誰にも不自由な思いはさせません。
なんてね。
お兄ちゃんも、たくさん食べて行ってね。
お世話をする人が増えてうれしいです──
今年も、これからもいろんな出来事があって
にぎやかだといいですね。

夕凪

『はじまった!』
学校が
はじまったよ!
楽しいことばかりのお休みを終えて、
子供たちはまたお勉強を始める──
ああ!
なんてことだ。
いつまでもクリスマスやお正月が終わらない
最高のマホウは
いつになったら実現できるんだろう?
今回こそはと──思ったのにな。
何が足りなかったのかな?
本当にそんないいことがあれば、
きっといつもみんなで
ニコニコ楽しく暮らしていけるのはわかっているのに──
でもまあ、
はじまったものはしかたがない!
みんなよく知っている
笑いあり涙あり、
給食あり体育あり──宿題もあり、
時には恋も生まれて
ライバルと戦うこともある
あの学校生活。
あ、家族が多くてお兄ちゃんもいる夕凪は
おうちでもいろいろできるな──
まあそれはそれで、
学校もいいものだから
よかったのかな?
冬休みのあまり多くない宿題も済ませ、
提出した書初めを飾って
クラスのみんなと比べたりして──
夕凪はこれから、学校でやらないといけないことが
たくさんあるの。
まずは──
そうだな──
冬休みの楽しかったことの
情報交換をして、
うらやましがったり
うらやましがらせたり、
覚えておいて参考にしたり──
今年の楽しみを集めたり
これからの予定も考えないといけないし、
なんだかいきなり
忙しくなってきた気がするぞ?
新年がやって来て、
寒くないようにもこもこになった夕凪が
学校でいろんなことを覚えて帰って来る。
お兄ちゃんは
おうちでちゃんとお迎えして、
そして一緒にいてくれなくっちゃ──
そうでないと、夕凪が毎日を楽しんでいる甲斐がないからね!
明日も元気に行ってまいります!

あさひ

『うるるん!』
うるる──
にゃーにゃ、
みーにゃ!
う、うるる
わああーん!
──うん。
ううーん!
ごろん。
くぅ、くぅ──
にゃーにゃ──
(おうちがしずか──
 おにいちゃんもいない。
 これは、みんなおでかけだ!
 うわーん! さみしいよ!
 あさひがおるすばんだよ。
 でもね、あさひしってるの。
 いいこにして、
 まっていれば──
 みんなが、おみやげをりょうていっぱい
 どさどさもってかえってくるのだ。
 じゃあ、ねてまとう。
 あさひはねるのがすきだからな。
 それで、おにいちゃんがかえってきたら、
 ねているあさひをだっこしてくれるの──)

真璃

『おいしいのは』
甘い派勝利、おめでとう!
辛い派とすっぱい派もよくがんばりました。
さて、明日から幼稚園や学校が始まり
いよいよ本格的に新しい年へと向かっていく
今日は節目の日。
体にいいものは
七草粥の時にも食べたけど──
でも、栄養は毎日
バランスよくとるものだわ。
厳しい寒さに立ち向かうために
しっかり体を作っておかなくちゃ。
お肉も食べて──
お魚も、お野菜を食べて──
もちろん、忘れたらいけない
お味噌汁には
わかめとお豆腐!
食卓に欠かせない
卵と納豆!
朝昼晩に、
好き嫌いなく──
明日を迎えるために
理想的な食事はできたからしら?
本当は、
お野菜も好き嫌いがあるし──
納豆もにおいが苦手な子だって
いるんだけど。
マリーも──おおよろこびでとびつくほどではないんだけど。
でも、年下の子も見ているのに
お姉ちゃんがいやがって
悲しい顔をして食べては
いけないでしょう?
よくかきまぜて──
おねぎと卵も入れると
その味わいはたまらないものよ。
ふうん──案外、あなどれないわね。
糸を引いた見た目もおどろおどろしい
この納豆という子。
小鉢の中で、
そして
お椀に盛ったほかほかのごはんの上で
人を引き付ける魅惑の力──
これって、
辛いと甘いとすっぱいの、どのおいしさなのかしら?
もしかしてまだ誰も言葉に表せないすばらしい味を
おうちの食卓が実現させてしまったりして!?
なんてね。
おいしいごちそうで
少しくらい、体重が気になっても
女の子は愛嬌。
明るく前を向くのが大切よ──
明日は、フェルゼンにどんなお土産話を持ち帰れるかしら。
食べ過ぎた冬休みが終わるのに、
マリーは──少しわくわくしているのよ。