『背中を守る』
休日ね。
みんながよく遊んでいる
テレビゲームを横から見ていると──
味方の背中が隙を見せ、
どこからともなく飛んできたかわいいしょうゆ入れ型のボムを
後ろから撃ち落して助けながら
協力して進んでいく場面がたまにあるわね。
やっぱり何事も
力を合わせ、助け合っていければ
それが一番強いのだと──
人間でも鉄道の部品でも
かっちりはまった組み合わせこそが
本来の力を充分に発揮する──だけでなく
二倍も三倍も活躍をするようになる──
と思っていたら、
まとまっているところを
遠くから飛んできた大きいインクの玉やら
広い範囲にインクを飛ばす縦振りやらチャージ後の連射攻撃などで狙われて
一気にワイプアウトに追い込まれたりするの。
人生と同じで、なかなか複雑ね。
ゲームだからってあなどれない。
そして、後方から一歩引いて
みんなの動きを見ながら助けに入るのは
何もゲームばかりではなくて
テレビのこちら側のうるさい子供たちが
寝っ転がって暴れたりお菓子を散らかしたりしたところに
さっと助けに入って
みんなが快適な空間を維持できるあの動き──
誰にでもできるものではないわ。
それでいて、鋭い観察眼と経験を重ねた無駄のない動きをする
達人はと言えば──
別に鷹のような視線を配るでもなく
穏やかな表情で、うれしそうにしている──
やっぱり、その道を極めた者は
普段の所作からして違うのね。
なんて──
自分だって、そのうち大人になればあんなふうに
助けに回れるようになるんだって
思うこともあるのに──
散らかしているのを見つけては
注意だけで済ませてあまり効果はないし、
かといって見つけてしまったら口を出さないわけにもいかないし
助けてあげられるほど器用じゃないし──
でも休日に落ち込んでいたって仕方がないわね。
明日からはまた学校よ。
寒い時期だから体には気を付けるようにして
毎日、自分のできることをがんばって
あとは──たまにさっそうと誰かの助けに入ったりできたら
ちょっといい気もするけど
できないことはできないかもしれない、として。
あとは夜更かしなんかしないで規則的な生活が送れたらそれでいいわ。
きっと、いろんなことを学んでいる途中かもしれないけど──
遅くまでゲームで遊んでいる子がいたら見逃せないからね!