さくら

『おねむ』
ううーん
ふにゃふにゃ──
あーちゃんが、きょうは
おなかいっぱいで
すやすやねむるよ。
おやつをたべ、
あーちゃんと
よくあそんださくらは
とうとう──
あかちゃんのように
おねむなの。
あーちゃんが
かわいいおかおをして、
さくらはむちゅうに
なっていたので──
おねえちゃんたちは
おやつのあとかたづけや
ぐんぐんのびるかだんのざっそうの
くさむしりや、
おひるねにいったよ。
もうすぐ
おやすみがあるから
みんな、じゅんびでいそがしい。
きょうも、
あたたかいひなたで
のんびりするさくら、
もう──
はんぶん、ねむりかけているよう。
もっとあそんでいたいのに──
はるのようきが
あかちゃんみたいに
さくらをねむりによわくしてしまう。
ほら、はるかおねえちゃんもおねむだよ。
うとうとしている
さくらのおとなり──
でも、はるかおねえちゃんも
いそがしいから──
れんきゅうのおやすみは
よふかしをするかもしれないって。
さくらも
よふかしをできたらいいのに──
あかちゃんみたいにねむらないで
あそんでいられたらいいのにな。
おとなりでねいきが
きこえて──
あちらでは、おやすみのじゅんびの
こえがする。
さくらはおやすみに
ねむらないで
よふかしで
あそぶことができるかな?
おやすみのひも、
あかちゃんみたいなさくらなのか
どうなのか
まだわからない──

あさひ

『きゃっきゃっ』
うぐぅ
しゅーん……
ぽろぽろ──
──んむん?
にゃーにゃ!?
にゃーぱい!
もぎゅーぱい!
きゃっきゃ。
んばっ!?
わっばーい!
(おなかがすいたよ。
 あさひもげんきが
 なくなるよ──
 ないてごはんをもとめなくては!
 おや? おにいちゃんも
 おなかがすいたら
 げんきがでないのか?
 あさひといっしょだな!
 あれっ、なぜだ?
 おにいちゃんとあさひがいっしょだと
 うれしくて
 おなかがすいてもげんきになるぞ?
 そんなに──あさひはおにいちゃんがすきなのか!?
 やったー! おにいちゃんがだいすきだ!)

青空

『まなつ』
わあ!
あついひだ!
あついひは、そらが
おにわへあそびにいくよ。
おぼうしをかぶって
はしっていくよ。
あせびっしょりになって
かえってくるよ。
あついひは
だいたいそうなるよ!
おそとにいって──
あたらしいあそびを
みつけたり、
しらないむしを
つかまえたりする。
あついひでなければ
できないことだ!
だから、そらは
はしるよ。
あたらしいあそびはどこだ?
はっぱのうらか?
ひかげか?
ころんだときに
ころがっていく
おぼうしか?
そらはしらない。
でも、どこかに
あることだけは
しっている。
あーっ!
あついひに
りっか
みはるも
おにわへいくよ。
あたらしいあそびと
しらないむしが
みつかるのを
しっているからだ!
どこかにあるからだ!
でも
どこにあるか
しらないからだ!
りっかもみはるも
みんなも
あせをかいてもどってくるよ。
そうしたら
いちばんあせをかいて
もどるのはそらだよ!
ぐしょぐしょ
ぼたぼただよ!
なにがあったか
みんながきくよ。
そらちゃん、どうしたの!?
しらないの?
はっぱのうらにも
みつからなかった?
じゃあ、そらが
おしえてあげるの!

虹子

『まっすぐ!』
おにいちゃんが
どれだけとおくにいても、
すぐにみつけて
おいついて
つかまえる!
にじちゃんは
おおきくそだつとちゅう──
こんなにちいさい
にさいのこどもが、
いつのまにか
ぐんぐんのびて
まもなく、おとなになるという。
そのとき
にじこは──
おどっているのか?
うたっているのか?
まだ、だれもしらないという。
よーし!
それなら
おおきなにじこは
たくましくて
あこがれの
おにいちゃんみたいになってみよう!
にじこのいちばんだいすきな
やさしいおにいちゃん。
てをはなさないで
いつもつかんでいて、
いちばんちかくでよくみて
いなくては。
すきな
たべものも──
すきなおどりも、すきなあそびも
おなじがいいな。
あるひ、にじこはいう。
おとなになったよ!
つぎに、にじこはいう。
おにいちゃんみたいに
かっこよく
やさしくなったよ!
そんなにじこが
あらわれたら──
なんていいことだろう。
だから、このてをはなさないの。
もし、みうしなったら
いちばんまっすぐ
やくたどりつく
みちのりで──
にじちゃんがおうちをかけて
まちをゆく。
きっと
ものすごいはやさでゆくんだな。
にじこ、すぐに
おおきくなるこどもだからな。
あるひ、にじこはだいすきなおにいちゃんに
だーいすき!
だーいすき!
そうつたえているよ。
おにいちゃんがいたから
おおきくなったよって。
あしたかな?
そのつぎくらいかな?
はやくおおきくなってね、にじこちゃん。
ああ、おにいちゃんがおどろくかおが
めにうかぶようだ。
どうしてそんなに
すてきになったのかな?
にじこちゃん?
それはね──
おにいちゃんのいもうとの
ちいさなにさいのおんなのこだったからなの。

『答えは』
はい!
もちろん、
特別なお休みの日によく似合う
外食のテイクアウトは頼りにするし、
自分で!
家で!
好きなものを作れなかったら
お休みの日じゃない!
そんな声にもお答えします。
蛍はわがままだから──
ときどき、
たまーに
食べ切れないほど
作りすぎることも
あるんだって──
実は気が付いています。
みんなに食べてほしいのは、
あれもこれも
どれかひとつだけなんて選べない。
全部でなくっちゃ
いけないんだもの!
そして、そういうわけにもいかないので
がまんしたり──
ときどき、素知らぬ顔をして
メニューにねじ込んだりしながら
さすがに今回は気付かれているだろう、
蛍がやりすぎたことに──と、
反省をしたり。
お兄ちゃんも、たまにそんなふうに思う日はない?
テーブルの上を踊る箸、
山のように盛りつけたお皿の数、
そして食べているうちに
いつのまにか品数が増えていること──
それは、妖精のいたずらや誰かの魔法などではなく、
蛍がしていたことだったんです。
今年も──ついに
大型連休がやって来る。
一年で特に快適な季節で、
体を動かすにも
のんびりするにも
家族でいる休日に叶う──全ての願い。
みんながよく
おなかをすかせているから
あの子がうずうず
落ち着かなそうにしているの。
お掃除をして
予習復習も済ませて、
何かを待っているようにキッチンでうろつくのは
あれはもしかしたら、ホタではないですか?
この時期の
おいしい情報がどこかから届くかも──
何か食べたいものの
リクエストが聞こえてくるかも──
まさか、日頃気にかけていた冷蔵庫の中身が声をかけてくれて
奇跡的ないい献立が思いつくとしたら──
休日ならそんなことがあってもおかしくない。
みんなに喜んでもらえることがたくさんあっても
おかしくなんてない──
ヒカルちゃんも手伝ってもらうことがあると思います。
今から心の準備をしておいてね。
そして、やっぱり頼りになるお兄ちゃんは──お兄ちゃんは、
とりあえずうきうきするあの子のそばにいて
大皿に山盛りのメニューをうっかり増やしてはいないかどうか、
見ていてあげるといいのかもしれません。
あの子はまた、何かいいことがある予感でうずうずしている気がします。

ヒカル

『風のうわさ』
話を聞いた──
最近、どこにいても
耳に入って来るのは
おいしそうな──
甘いものの噂話。
少し前から、そうなんじゃないかと
うすうす気がついてはいたんだ。
なにしろ、春が来て
行楽シーズンともなれば
お弁当も大事、
そしてもちろん
ちょっとしたお出かけに
甘いもので腹ごしらえ、
かわいらしい季節を感じる雰囲気は
きっと誰でも
うれしいものなんだから──
よく運動をした後の
疲労にも、
甘いものはちょうどいい。
体を絞って
動きやすくするには
栄養の偏りはあまり良くないけど、
健康維持に
毎日続けるエネルギーとして
すぐに力が出る甘みは
きっと助けになる──
でも、減量やすっきりした体型の変化を
モチベーションにするなら、
長い目で見たら食べ過ぎはよくないかな。
とにかく、人間に必要なのはバランス。
きっと体が甘いものを求めるときは
やってくるんだ──
まだ、季節がいい時期でも
お出かけするには小さい子もいるし心配だから
どこかへ行って
きれいな景色をみんなで眺めて、
その土地のおいしいものを求めるというのは──
少し難しいかもしれない。
でも、だからこそ
春風や蛍や、
みんなで甘いものを研究して
おいしい毎日を過ごそうという
そういう話だと思う。
たぶん。
違うの?
持ち帰りの外食の話題──?
そ、そうなのか。
家の中の話なら
私の体力もお手伝いに役立ちそうだから
いい話だと思っていたんだけど──
外食となると、こつこつ真面目に貯めるおこづかいや
情報に敏感なアンテナ──その精度が大事なんだろう?
そうか──勘違いか。
私にはあまり縁のない話だったか。
食べるだけなら得意なんだけど、
おなかをすかせるための体を使ったお手伝いも得意なほうだと思うけど──
いや、おいしいにおいの料理上手にはかなわないか。
もっと得意を増やせたらなあ──

真璃

『ちょい旅とは』
ええっ!?
ま、まさかそんないいことが
現実にあるなんて!
フェルゼンも聞いた?
本当は、ここだけの話にして
みんなをあとで驚かせたかったんだけど、
もうここまで広まっていたら
それどころじゃないわ!
そう──
なんと、山梨の信玄餅マクドナルドがコラボ!
信玄餅パイが
もうすぐ食べられるのよ──
辻利抹茶ラテのシェイクと
東京ばな奈のワッフルコーンも魅力的だけど、
信玄餅パイの響きには
みんなが心を奪われているわ──
いいわよね、信玄餅
きなこと黒蜜の
濃厚な甘さが口の中に広がるとき、
日本に生まれ、おもちに出会えた喜びを思い──
食べた後でテーブルに結構こぼれているきなこを見たとき、
日本ってときどき大変だなと実感するの。
あのもちもちしたやわらかさと
かわいらしいサイズに見えて口に入れると
ちょうどいい確かな噛み応え──
ほら!
注意書きにもあるの。
もちを喉につまらせないようにご注意ください。
中身が熱いことがありますのでやけどにご注意ください。
濃厚な黒蜜フィリングともっちりとしたきなこもちフィリング──
サクサクのパイに
そんなにいいものが入っていても
許されるのかしら?
想像できるだけでも
罪深さを感じそうなおいしさだけど──
いいえ、期待しすぎは良くないかもしれない。
なにしろわがやの一流シェフたちや
かわいいお手伝いたちのお仕事と違って、
どれだけ実績があっても大きくてもそれでもファーストフードチェーン。
この東京から大きな山を抜け雄大な富士山を横に見て、
温泉やフルーツ、キャンプのレジャーも有名な中にあって
今や山梨のお土産として広く知られる
信玄餅をパイにするなんて──
挑戦的だと思うわ!
まさに私たちがお出かけに出るようなことがなかなかできない日々に──
遠い場所の文化を届けてくれるような試み。
マリー、きっとその味を見届けてみせるわ──
おこづかいをためて──きっと。
でも、ご近所の東京でもワッフルコーンもおいしそうだわ。
抹茶はお姉ちゃんたちも喜びそうだし。
はじまるのは──27日からなんですって。
きっと、もうすぐね。