ヒカル

『風のうわさ』
話を聞いた──
最近、どこにいても
耳に入って来るのは
おいしそうな──
甘いものの噂話。
少し前から、そうなんじゃないかと
うすうす気がついてはいたんだ。
なにしろ、春が来て
行楽シーズンともなれば
お弁当も大事、
そしてもちろん
ちょっとしたお出かけに
甘いもので腹ごしらえ、
かわいらしい季節を感じる雰囲気は
きっと誰でも
うれしいものなんだから──
よく運動をした後の
疲労にも、
甘いものはちょうどいい。
体を絞って
動きやすくするには
栄養の偏りはあまり良くないけど、
健康維持に
毎日続けるエネルギーとして
すぐに力が出る甘みは
きっと助けになる──
でも、減量やすっきりした体型の変化を
モチベーションにするなら、
長い目で見たら食べ過ぎはよくないかな。
とにかく、人間に必要なのはバランス。
きっと体が甘いものを求めるときは
やってくるんだ──
まだ、季節がいい時期でも
お出かけするには小さい子もいるし心配だから
どこかへ行って
きれいな景色をみんなで眺めて、
その土地のおいしいものを求めるというのは──
少し難しいかもしれない。
でも、だからこそ
春風や蛍や、
みんなで甘いものを研究して
おいしい毎日を過ごそうという
そういう話だと思う。
たぶん。
違うの?
持ち帰りの外食の話題──?
そ、そうなのか。
家の中の話なら
私の体力もお手伝いに役立ちそうだから
いい話だと思っていたんだけど──
外食となると、こつこつ真面目に貯めるおこづかいや
情報に敏感なアンテナ──その精度が大事なんだろう?
そうか──勘違いか。
私にはあまり縁のない話だったか。
食べるだけなら得意なんだけど、
おなかをすかせるための体を使ったお手伝いも得意なほうだと思うけど──
いや、おいしいにおいの料理上手にはかなわないか。
もっと得意を増やせたらなあ──