さくら

『さむいのいけないよ』
いやだな──
ひがくれたあと
おそくまであそんでいたり、
おふろあがりで
はだかでいつまでもよろこんでいたり、
おまけに
すききらいをしてしまったりすると、
からだがよわって
おかぜをひいてしまうの!
さくら、おかぜだいっきらい。
はなみずがずるずる──
おかおがぽかぽか──
きもちがわるいんだもの。
おうちのこが
おかぜをひいたら、
きっとこわいおもいを
しているよって──
さくらはないてしまうよ。
そんなのだめ!
かなしい──
なのにどうして、さむくなってしまうの?
そんなのいけないのに──
でも、おかぜから
げんきになってまたあえたら
すごくすごく
うれしいの。
こどもたちは
おおさわぎをするよ。
おかぜだったこも、
ずっとさみしくしていたから
よくあそんでくれるし──
それにね、
さむくなると
ほしがかがやき──
おたのしみかいもあって
おいしいおなべも
あらわれる。
みんな、このきせつは
うれしいことを
まってるよ。
さむいのは──
いいことなのかな?
あっ!
でも
おかぜをひいたら
いいことみんな
だいなしだ!
やっぱりかなしいな。
お兄ちゃん!
さくら、さむいとかなしいよ──
お兄ちゃんは
ないてしまいそうなさくらを
ふゆのさむさの
なかでも──
たすけてくれる?
さくら、お兄ちゃんだけがたよりです。