立夏

『うれしいな』
たのしい!
あーちゃんがみんなのところへ
がんばってほかほかする気持ちを
くばってくれるので──
雨の日でも、くもりでも
なんにも寒くない!
よしよし、
いい子だね。
それにしても、少しくばりすぎたかな?
リッカのほうまでなんだか汗が──
いや!
これは、あーちゃんだけが理由じゃないぞ。
窓から差し込むまぶしさ、
額を流れる汗、
キッチンからは冷蔵庫を探り、アイスを探す声──
この暑さは、
これはどうも
薄着になって走りまわらないといけない季節が
またやってきた感じがするぞ!
そんなにいい時間は、もうあんまり
たくさんあるわけではないかもしれないけれど──
でも、汗をかいて
暑くなって
動き回りたくなるなら
今日はそんなふうに
また夏がやってきたみたいに過ごしても
いいんじゃないかな?
だってここにいるのは
一年にどれだけたくさん夏があっても
うれしくて
ぜんぜん困らない子。
このまま
なんだか暑いだけだからって
とぼけたふりをして──
楽しそうな時間がやってきたのを
少しも逃さず、
喜んですごすのに
なんの問題があるだろう?
えっ?
別に、夏みたいに過ごすからって
あんまり体を動かす理由は見つからない?
それは──
勢いに任せて
一緒に好きな時間を過ごす人を
誘う手段が
欲しいだけかもしれないな?
9月のある日に、
リッカはもう少し
夏のような日を過ごす──
あーあ!
暑いから、
よく晴れただけでついついはしゃいじゃうから
遊びに行くときに──
少し強引に誘ったって
しかたないんだ!