春風

『やり残したことは何もない』
春風です。
新学期も始まって
なんだかみんなの気配も
そわそわ
うずうず
新しい始まりの予感で
落ち着かなくなってきている感じ。
春ですね!
いいことです!
春風も──
このまま春のせいで
うっかり恋が実って
しまわないと──
そう思うと
いてもたってもいられません!
でも、立ち止まって
あたりを見回すと
始まりの予感に置いて行かれた
あれは春休みの名残り──
作りかけのジグソーパズルや
まだ肌寒さを感じる首元を暖めたい
心のこもった編み物の途中。
なぜか片方だけ洗い物がすんで
もうひとつが転がったままの運動靴。
ウフフ──
春風が見つけたからには
中途半端なままで
放っておかなくても
かまわないものばかりですね!
ではさっそく
まだ残るわずかな寒さをこらえて腕まくり、
靴はすっかり洗ってしまい
編み物もすすめておいて
ジグソーパズルも完成させ
ついにまるごと片付けないと!
散らかったままでは
新生活の始まりにふさわしくないものね。
でも待てよ?
ジグソーパズルは作り上げてしまったら
楽しみが失われないかしら──
編み物も手を出してしまっては
悪いかもしれないし──
もしかしたら靴を洗ってしまうのも
余計なお世話なのかも!
ああ、悩んでしまいます──
今日もまた
楽しい春の一日。
王子様もやり残したことが
思い当たったりしない?
春風が見つけ出して
すっきりさせてしまう前に──
手をつないで登校する約束や
放課後の予定を聞き出す用事は
すませておいたほうがいいと思います♪