『朝の天気予報』
今日のお天気は午後から雨。
少しがっかり。
でも、家の中は暖かくて
蛍姉様特製のおしるこも作ってもらえたので
まあまあ。
それなりだった、お休みの日。
明日で冬休みが終わって、
薄れてきていたお正月の雰囲気も
あとは学校で会う友達に
あけましておめでとうのあいさつと
お年賀状の話題を交わしたら
それで一区切り。
残るのは、
すがすがしい新年の
きりっとした雰囲気の中で誓った
新しい年を迎え
ぴしっとした晴れ着で
背筋を伸ばしたみたいに
今年も一年、
気を引き締めていこう!
という、気持ちのいいはじまりの
気配だけが
ゆらめくように
いいにおいがするように
私を包んでいるばかり。
新たな未来が広がっている
私たちの一年。
気にもしないで
いつもの道を当たり前に歩いていく気分の子も
おうちには多いようだけど。
私は決めたの。
何かが始まる新しい年。
だったらいいな、と思った
あのお正月の
どこか緊張感のある気分を忘れずに
見たことのない景色を前にして
怖がったり、おびえたり
それでもなぜか期待に胸を弾ませて
踏み出していく。
これまでとまったく別の
何もかも新しい年がきたのだから
気持ちも新たに進んでいく。
ちょっといいかな、と思ったので
そうしよう。
自分でも意外な気がする発想は
新しい年の神様が
通りすがりに置いていったのかもしれない。
自分の中からは、あんまり出てこない気がしたから。
私にしては
いい思いつきなんじゃないの?
まったく新しい未来が広がっている
まだちっとも予想がつかない一年のはじまり。
まあ、
鉄道の予定はもう調べておいた通りであまり変わらないし
見たことも聞いたこともない路線に
思いがけなく乗れることがある!
とは考えられないんだけど。
でもいいの。
いえ、よくないけど
それは想像するだけだった夢が翼を広げるように
実際に行動範囲も広がっていくなら
もちろんうれしいんだけど
でもあんまり現実的ではなさそうなことはとりあえずおいといて
いつか自分も大人になるなら
ただ大人になっただけで、今よりも少しは自由に
まだ夢見るしかない大好きなことが出来るなら、
今年は、そんな未来にだんだん近づけるように
きりりと。
できる努力があるとしたら
奥から、内面からも変わっていったらいいんじゃない?
と。
私だって新年くらいは
ありえないくらい前向きになるものなのかしら、
年の始まりって不思議だなと思って
海晴姉様の今年の仕事始めの
お天気予報を見ていたら。
今年もお天気お姉さんの海晴は
皆様と共に
新しく生まれ変わった
まだベビーな年に
膨らむ夢をいっぱい抱えて
大好きな人と手をつないで
歩いていきます。
今年もよろしくお願いします!
テレビの前で見てくれている人みんなに向けた言葉に見えて
特別な人へと向けた秘密のメッセージかもしれないという
なぜかまだ休みだというのに
今日は朝早くからテレビの前に揃った家族たちの噂話。
海晴お姉ちゃん、
今年も家族と一緒に
新しい年に向かっていくからよろしくね!
って、何度も言ってたもんね。
だって。
どうもあんまり気にしていなくても
なんとなく内容が頭に残っているくらいには、海晴姉様が繰り返していたらしい。
影響を受けたつもりなんて全然ないのも
本当なんだけど。
もしも、他のことに気を取られてうわのそらで聞いていたなら
原因は普段着付けない晴れ着と
自分もそのうち、もうちょっと着心地に慣れて
落ち着いた人になれるのだろうか?
小さなひっかかりがあったせいではないか、
なのかもしれないので
元旦は春風姉様がやけに紋付に見とれて
ぽわーんとしていたのは
そんなに気になるなら
自分で着てみたらいいんじゃないかしら、
変わった趣味だな、
と思ったようなことは
私には全然ちっとも関係がないので。
そう、私の場合は今だって
誰か一人に向けたわけではない
新しい年へ踏み出していく晴れやかな誓い。
それでも今年もまた
やっぱり家族のみんなは
近くにいるはずで、
そのことは海晴姉様ときっと変わらないと思うので。
私が海晴姉様くらいの年になるまでは
たぶん、変わらないまま家族と一緒にいて
今年も同じじゃないかなと、
そんな未来も予想のうちに
ちょっとあるから。
一応、言っておきます。
今年もいろいろお世話になると思います。
どうぞよろしくお願いします。
明日は冬休みの最終日で
学校が始まったらもう
これからは一日中あなたと顔を合わせていることもなくなるはずだけど。
みんながこたつに集まる寒い日だったから
なんと、みかんはすっかり残らず品切れになって
明日はいい天気の休日を利用して、買い出しに行くことになっているの。
かなりの量を
もちろんあなたの力を借りて
あと、今年になってだんだんしっかりしてきているように見える
私と。
だって。
今年なんてまだ何日も経っていないのに。
調子よく押し付けられたのかしら?
お正月はもう終わると思っていたけど
みかんの奪い合いで大騒ぎになる
冬のはまだまだこれからなんだな、と
今日はそう思ったから。
まあね。
家族の仲でも、礼儀正しい挨拶は
お正月には似合うよね。
あけましておめでとうございます──
も、そろそろおしまい。
今年もよろしく。
こんなあいさつも、今日くらいだから。
それだけ。
深い意味なんてない、ただのあいさつよ。