海晴

『試される者たち』
今日も風は冷たく
寒さは相変わらず容赦なく
朝のお布団は恋しく。
それでもどこか
情熱の気配がふわふわ漂ってきて
寝坊してなんていられないと元気が出るのは──
負けない!
と宣言する
恋する少女たちのおかげ。
誰が一番
わがやのたった一人の長男を愛しているのか
決して譲る者も、引き下がる者もいない。
といっても
こういうのは目で見て勝負がすぐ決まるというわけではないからね。
キミの心の中にサッカーのようなゴールがあるとして
いい球を蹴り込めるか
審判できるのは
たった一人だけだし。
私たちの愛しい人は
とっても優しくて
順位をつけるのが苦手そうだし。
ま、これからおいおい
追加のルールも決まることだって
あるかもしれない。
はたしてどうなるのか
今はまだ
神様だけが知っている。
と、いうわけで
鋭いシュートの練習をしているとも言えるし
山篭りで必殺シュートを開発する気分とも言えるし
ルール無用で襲い掛かるために
牙を研いでいるとも言える状態は……
キッチンに詰め詰めとなって
大きな子もまだ小さい子もひしめき合っている状態よ。
お姉ちゃんが妹にお菓子作りを優しく教えてあげている光景って
とっても和やかなものだけど
このところ恰幅が良くなった横幅が気になる匿名希望のお嬢さんは
大きなおしりですきまに入り込んでいくのも悪い気がするので
ひとりぶん空いたら言ってね♪
声をかけて待機中。
ああ〜
このままだと
困っちゃう。
こうしている間に予習をしてお料理の本を広げていると
あれもこれも作りたくなっちゃうな!
キミはチョコレートケーキは
一日にいくらあってもぜんぜん問題ないタイプ?
そんなわけないか……
不肖、天使海晴
毎日が勉強と果てしない研究でできています。
途中でバレンタインとは関係なく
家族だからと言ってスキンシップをとりながら
一年に一度の特別な日には
まだ今は熱い胸の中だけが知っている愛情を乗せ
自信たっぷりの贈り物を用意できますように。
なんとか間に合いますように!