立夏

『13歳の聖夜』
ごく平均的な中学生
どこにでもいる普通の子の立夏
クリスマスイブの過ごし方はもちろん
早くベッドに入って
眠れるかどうか不安になりながら
明日の朝を待つこと!
去年のクリスマスから一年。
いたずらもした。
けんかもした。
がまんできなくて
泣いたり……
うそ泣きも……
あっ、言っちゃった。
オニーチャンには
もしかしたらまだバレてないかもしれない。
あるいはぜんぶ承知の上で、許してくれていたのかもしれない。
立夏の今年は
全体を通してみたら
ええと
12月になってからのお手伝いの追い込みがあっても
ケーキを焦がした失敗の分がだいぶ引かれて
差し引きがゼロになりそうでもある。
真面目に悩んだら
かなり危うい状況としかいえない。
ああ──
ディア・サンタクロース。
立夏の数少ないとりえ、というか
もはや唯一のとりえは
いつも笑顔で明るいところだといわれます。
だからどうか
明日の朝には
期待していたときにかなり無茶をして頼んだあれやこれや
きらきらしたのや
あまいのや
ふたつに分けてペアで持っていられるのや
こっちもいいですって候補をいろいろ書いたお手紙の内容よりも
どうかどうか明日だけは
みんなが同じ家で過ごせたらそれで楽しいクリスマスを
立夏の涙であんまり沈ませませんように
来年から反省して心を入れなおしますから。
いつもの立夏でいられるような
ちょっとしたものを
とっておきの靴下に。
靴下
かわいいやつです。
きれいに洗ってあります。
穴が空いても
お気に入りで──
教えてもらいながらつくろってみたら
オニーチャンにほめられた
立夏にしては珍しい
これが、今年の立夏の目印です。
ベッドサイドで待っているこのきれいな子に
明日の寒い朝はどうか
笑顔のプレゼンターをさせてあげてね。
眠る前に願いを一つ。
メリークリスマス、
今年も良い子でいられたみんなに
神様の惜しみない愛が届いて
愛されていると
明日もまた体中でいっぱい知ることができますように。
世界のどこかに
ひごろの失敗を少し心配している子がいて
立夏と同じように
今夜だけは眠れるかどうかわからないでいるとしたら
足音がしないサンタさんのいつもの魔法を使ってベッドの側まで近づいて
寝顔の頬に
安心して眠れるキスの魔法を一つ追加してもいいと思います。
寒さを忘れて早く飛び起きる子に
クリスマスだけは絶対に
いいことばかりがありますように。