『緩急』
この時期、
寒いはずなのに汗がじっとり
大忙しの仕事といえば
お菓子、
お菓子、
お菓子の生産現場
そのはずが
今日はたまたまおやつが途切れて
冷蔵庫で冷やしてあるのはまだだから
作業に急きょ割り込みで
小さい子達もお手伝いをして
ホットケーキミックスをまぜまぜかきまわす
シンプルなホットケーキ作り。
食べ盛りの子供のおやつは
もうどれだけあっても足りないくらいですから
手伝ってくれる人がどれだけいてもありがたい。
かきまぜた柔らかな粉の入ったボウルが手渡しで
わいわい声を掛け合いながら運ばれていくキッチン。
とっても助かって
あとは蛍一人でも大丈夫そうだと
みんなをねぎらったら
休んでいていいよ、のつもりだったのが
あっ!
わかった!
蛍ちゃんはいよいよクリスマスメニューの
秘密の仕上げだ!
お世話をかけないようにしましょう、
みんなが納得して、良い子で引き下がっていくんです。
どうやら蛍は
期待されているみたいですよ
お兄ちゃん!
あの、その時は別にクリスマスは関係ない普通の後片付けだったけど
実際に考えていることはあって
そのせいで油断して今日のおやつを用意し忘れる事態にもなったりしましたが
でも、みんなが良い子で
はちゃめちゃなことをしがちなお姉ちゃんを大事にしてくれてうれしい!
イブの夜には
早めに休んでいないとサンタさんが困ってしまうでしょう?
実はもうほぼ準備は終わって
あとははじまりの合図を待つばかり。
忙しかった今日を振り返って
ゆっくりお茶を一杯飲む時間が
みんなのおかげで今夜も用意できました。
ありがたくかみしめて
星降る時が近づく寒い夜
深まる夜の色の中に
できればみんなと分け合いたいかすかな明かりが灯るのを感じます。
待っててね、お兄ちゃん。
まだ頼りない蛍の胸の中にだって
そんな暖かい思いが見つかりそうです。
心を込めて用意してきたお楽しみ。
もうすぐできあがるお料理も、準備してきたちょっとした出し物も
全部なんてぜいたくは言えなくても
きっと一緒に
喜び合える瞬間をつくるわずかな助けになるはずです。