ヒカル

『なぐさめ』
ときどき話に出るのは
休日の予定。
まだ暑い日が続くけど秋は確かに近づいて
夕焼けの色を淡く染めたり
とんぼが音もなく横切る油断する姿に
手を伸ばしてみたい気持ちにさせたり
そんなふうに私の毎日を変えていく。
たぶんまもなく豊かな収穫の季節がやって来て
ぼうっとしていたらみんなに誘われて歩くことになるんだろう。
景色が変わりはじめるすぐ身の回りと
呼んでいるような秋を探しに遠出するのと
いったりきたりして
これからだんだん過ごしやすくなっていく日々を送るのだと
今からもう考えている。
退屈する暇もなく
あわただしく
新しい今までにない世界をふつうに受け入れていけるように。
もう家族で泊まりの予定のお出かけなんて当分ないだろうし
暑さにへばってゆっくり何もしない午後を選ぶことも
涼しくなって急にさわがしい声が集まる夕暮れの庭だって
また時間が過ぎて巡ってくる季節までの遠いお話。
自然なことだし
当たり前でいられるんだから
寂しい気持ちとも違うと思うんだけど
それでもふと立ち止まったときに
戸惑う気持ち。
どこからやってきたのか知っていて
進む道も目の前に見えているのに
一度止まった足は何かを惜しむみたいに
言うことを聞かない。
たぶんこういう時は
蛍が開発を続けている新しいこれからのメニューや
優しい色をつける季節の花壇とか
早くも見かけるようになったかわいいおばけの小物に
静かにかきまわされ、揺れる胸の中が
そっと熱を持ってときめいて
うれしい気持ちで変わっていけたら
たぶん一番いいんだろうな。
夢中になって走って行ける新しい日。
どうやら夏が終わる頃に限っては
自分にはできないみたい。
困っているわけでも悲しいわけでもないから
優しい秋が来て、喜んでいるみんなをすぐ近くで見ていて
なんとなくちょっといいな
うん、よかったなって
それだけ。
だから、本当はみんなといたいのに
つい気がつくと一人になってしまうから
誘ってくれる人がいたら
ふだんよりすぐついていく時が多くなりそうだな、
と思いました。
たぶん、変わり目のあたりは
どうしたらいいのか決めかねて
退屈しているだけだから
一人でいるのを見かけたら
あんまり細かいことはなくてもいいので
いつでも連れ出してね。