吹雪

『タイトロープ』
明日はあまり天気がよくない予報。
寒さが増してきて
雪になるのは
麗姉が広げる路線図の、どのあたりからなのか。
冬の寒さはこのごろ
ますます私たちに大きな影響を与えている。
今年のライブも
去年と同じ雪の日になったら大変ですね。
いえ、私たちは小さい子を放っておけないので
おそらく後のBDを待つことになると思いますが。
G’sでも去年のようにレポートが?
まあともかく。
降り積もる雪が私たちの生活に関わるようになるのも
そろそろ、まもなく。
はっと気がついたら
知らないうちに、庭一面に雪が積もっていた!
という驚きも
当然考えられる状況だけれど
私たちの家では、天気予報に興味がある子が多いらしくて
噂話にもなりやすいので
まったく予想もしない突然の雪との対面は
おそらくあまりないと考えられます。
キミも天気予報が好きですか?
私は──
ふつうです。
時間になったらテレビに飛びつくというほどでもないようです。
その前に、はたして私は好きなものにまっすぐ走って行って抱きつく性格なのか
自分では判断できないような気がしています。
たぶん、そんなに取り乱すことはないと思っていても
周りの話を聞いていると、ことあるごとに動揺したり
感情を高ぶらせたりしているらしい。
まさか、そんな。
まもなく私も雪の降る庭に飛び出して
手足が自然と
うきうきする感情につられて
踊りだすことがあるのだろうか。
その瞬間を歓迎していると、
全身で表現するなんて。
表情が大きく動いて、顔色でも判断できるようになると
家族によって私の変化を見抜かれることもある
そんな状態のように、また私が変わって行き
言葉で伝えたくて迷うよりも
気持ちがすぐにわかってしまう?
そうなると
冬の寒さとは関係なく、内面の感情から来る体温の上昇によって
体調に大きな変化が起こるのでは?
私は自分の体に起こる変化を望んでいるのだろうか。
予想できない変化が訪れることを。
でも、雪はただ一面を白く染め上げるばかりじゃない。
困ったことに
雪が積もる気温の室外を
どうやら一般的に、人間の体は快適と判断しないようで
晴天の日に喜んで暖かな日差しを浴びて庭を走る小さい子も
雪遊びに飽きたら
家の中にこもったり
鼻水が出て笑ったり。
それは笑っている場合ではなくて
寒さで体が調子を崩しているサインです、
と教えても
青空や虹子くらいでは、まだよくわからない。
風邪に気をつけて
今までよりも体を大切に心がけないといけない季節がやってきて
つい、油断していると
思っていた以上に体が冷えているのだろうか、
もう大きな小学生も
中学生になっても高校生になっても
鼻水を出して平気で庭を走る。
大人という定義を書き換えなければならない瞬間。
女の子らしさについて考え直す必要に迫られ、
温かな飲み物を並べる蛍姉たちのあとを
ティッシュの箱を抱えて追いかけるだけの自分の姿に
これでいいのか、
他にできることがないのか考えていると
箱で両手がふさがっているみたいだから、と
追いかけていた蛍姉に、自分の顔を拭いてもらっている。
私の体も、冬の寒さが増していくと
どうやら影響を受けるらしいという事実にその時初めて気がつく。
今の年齢ではまだ
自分の不調に気がつくようになるだけで充分、
蛍姉たちも同じくらいの時期はそうだったと教えてくれるので
本当は雪の降る日の寒さに、
家族たちの様子を良く見て対策できることを探したいのだけど
寒さに震えるキミを見つけて、風邪の対策をしてあげることは
今の私にはまだできないならば。
ただ、気にかけていると
伝えることしかないのであれば。
今日はそれだけを言葉にして、納得しておきたい。
家族が風邪になったら私も平気ではいられない。
まして、それがキミだったらと考えると
なぜかますます感情が揺れるので
どうか寒い日にも
体に気をつけて。
いつも元気な顔を見せてほしいと願っています。