ヒカル

『ヒカルは落ち着いた』
みんなには心配をかけた。
ひとときも目が離せなくて
夢中になるけれど──
一日中では、さすがに体を壊すからな。
それに時間も夜になってしまうし
生活が不規則で
みんなと遊べないヒカルになったら大変だ。
楽しいことばっかり選べる夏休みなのに
いきなり全力を出したら
ペース配分もめちゃくちゃだ。
天使家の四女、天使ヒカルは
妹たちに示しがつかない──
というわけで、見る競技を絞って
きちんと時間を決めることにした。
これからだんだんと
計画性を学ぶ夏にする!
と、そうは言うものの
やっぱりスポーツは
応援しながら見るのが楽しいし
見ているうちに熱中するし
体も勝手に動いている。
そう簡単に変わるとはいかないのが
本当のところだ。
まあ徐々に──という感じで。
それで、どうだろう。
世の中は興奮することがいっぱいだし
オマエもスポーツの祭典の開催と
同じ時代に立ち会った仲間、
この時のために鍛え積み重ねてきたものを競う
数々の名場面を──
その目にしているのではないか!
私が喜んでいるところに
あさひもはいはいしながらやって来て
すごい場面だぞ!
一生忘れられない迫力だぞ──
と言っても
大きくなった時に覚えているのかな。
あさひも私の妹だから
かっこいいスポーツマンになれるぞと言ってあげても
本人ははしゃいでいるけど
どうかな──
でも、いいものをたくさん見せてやりたいんだから仕方ないな!
熱く興奮する夏は
いっぺんにやってくるようで
あのクラウドファンディングもストレッチゴールの予定があるということで
相変わらず可憐ちゃんもかわいかったから──
だから、あんまり落ち着いていないように見えるヒカルがいても
多少はしかたがない。
一応、気を付けようとしているのが形になればな──
自分との戦いが始まっているのはテレビの向こうとこちらも同じ。
スケールの違いがあるように見えたって──
私は真剣だ。
最後まで体を大事にしながらオリンピックを楽しめて
それで名勝負もたくさん生まれたら
その時は心置きなく興奮して──
また結婚を申し込むかもしれないけど
それもオマエの家族のヒカルだと思ってあきらめてくれ!
さて──今夜はどの競技が盛り上がるかな?