『メモリ』
夏らしい暑い日が続きます。
こういう時こそ、食事で栄養をとって
体を作っていかなければいけない──
というわけで、春風姉や蛍姉は
いつも以上に腕が鳴ると
キッチンで真面目な顔を見せる──そういう季節のようです。
そのおかげで、今のところは体調を崩す子もなく
ときどき睡眠時間が遅くなるくらいで、とどまっています。
そのうちオリンピックが終われば規則正しい生活に戻るでしょう──
毎年、夏場の食事は力が入っているので
このメニューこそ夏を感じる
何よりの風物詩──
と考える子もいるようです。
夏野菜のように
今の時期においしい食材ならともかく
おそうめんや
冷奴は──
夏だから手に入るというのでもなく
今でなければ食べられない、というわけでもない。
それでも、やはり
食卓に見慣れたあの夏らしいメニューが並ぶと──
今年も夏を過ごしているのだと
そういう気分になるようです。
こうして過ごしている
毎日を重ねることによって──
夏を思うための食材が増えていく。
であるならば、同様に
来年に今日のようなメニューが並ぶと
オリンピックを応援して
少し興奮もしていた時のことを思い出す、
そういう食卓になる可能性は高いと言えます。
また、例えば──キミと出会った順番で言うと
出会って間もないころに
お互いの好みを語り合い、用意した食事──
誕生日や卒業式、入学式の
記念の日の食事。
お互いを理解しようとして
特別な気持ちを知りはじめた頃の食事、
いつもと変わらない──普段通りの日を重ねる
にぎやかな毎日の──
やがて遠い未来、今を思い出すかもしれない
今日の食卓──
人の営みにおいて
食事は一般的に考えられている以上に
特別である可能性は──ないとは言い切れません。
研究が必要です。
今晩も、おそうめんはすぐになくなってしまいましたね。
暑い日に、このようなメニューはひとつの答えとして──重要です。
忘れないといい──よく覚えておく必要があります。