観月

『夜も更けて』
昼間の騒ぎが
嘘だったかのように
闇の帳が降りる──
音が吸い込まれるような静けさに変わる。
そして、凍える寒さがあたりを満たす。
どれほど暖かいように見えても
容赦のない冬。
夜の暗がりは何のためらいもなく
人を恐れさせ
生き物の命を奪い
子供たちを──逃れることもできず
あの寝床へと追いやる。
夢を見たり──
怖い話を思い出したり──
お手伝いで大変だった日の締めくくりに
体を休めさせるなどして
厳しい季節が今なお
みんなのまわりにあることを
闇と寒さが──否応なく教えようとするのじゃ。
たくさんおいしいものを食べて、
お片付けと、ときどきはお料理の手順と
暖かなおうちの過ごし方を知りながら
時を重ねたというのに、
この夜を越えられねば
静けさの中で
何も語られずにいなくなり
最初からいなかったかのように
真っ白な雪と一つになるように
宿命のように──犠牲となっていくのだろう。
これから楽しいこともあるのにな。
みんなの役に立つ知識も
いっぱい教えてもらったのにな。
できることは布団からあんまり出ないで
暖かくして、
うーん
おなかがすいた──気もするな。
教えてもらったことの記録を
置きっぱなしで忘れてきた気もするな。
兄じゃがさみしくなって会いたがっている気もするのじゃ──
でも、お布団の外には出られないから
冷たい冷たい夜が終わるのを
じーっと待つのみ。
ときどき──
会いたい人の顔を思い浮かべたりもしながら
冬の夜はみんなを包み込む。
よく遊んだ子の寝息が穏やかに──静かな部屋を満たすことに安心して
古くから潜む暗い冬の影がまだ、わらわをかどわかしたりはしていないと知るのじゃ。