海晴

『相剋』
私たちの周りの
大きくゆっくり確かに動く
季節の移り変わりは
うまくできているもので、
これからもうすぐ
三寒四温を繰り返すうちに
ずんずんどしどし
春へ向かって
進んでいく。
寒くて凍える
冷たい冬の日も
身を寄せ合い──
その日が来るのを待つ。
あまりに冷たくて
信じられなくても
待ちくたびれて
あきらめても
ついに暖かく
つぼみがほころぶ時は
私たちの街に
いつか──
訪れると知っている。
なんだか小さい子が寒そうな格好でいるのを
おいかけたり捕まえたり
おしおきでひっくりかえしたりして
あんまり慌ただしい時間が続くと
もういつのまに
そんな時期に!?
って──
なることもたまにあるわね。
今日は久しぶりに暖かくなってよかった。
日なたにはのどかな顔が並び
子供たちは勝手に追いかけっこを始めて
何かよくわからないものを拾ってきてはうれしそうに見せてくれる。
なんだったんだろう──
まあそれはいいか!
家の中で遊ぶすごろくもお絵描きも
そろそろいらなくなるまで
もうあとわずか。
役目を終えたものを
振り返りもしないで
わくわくしながらみんなは出て行って
隣に寄り添いぬくもる姿も消え
少し寂しくなる春のはじまりも
きっともうすぐ──
帰って来るのを待っている人がいることも
すっかり忘れるかのように──
しかたのない
若い躍動する命たち。
いつでもまた胸に飛び込んできた時には
たくさん遊んであげて
おなか一杯食べさせて
ときどき小言もこぼす準備は
お姉さんたちにはできているんだから
好きなようにするといいわ!
キミももうすぐ
暖かい場所を探しに出かける時もあるのかしら。
いいよ!
季節は移り
めまぐるしい世界で
まだ寒かったって
震えて帰ってきても
ぽかぽかに変える用意をちゃんと整えている
家族はいつも
ここであなたを思っている──
変わることのないそんな人たちを
ときどきは
思い出してね。