春風

『はりきり』
あれっ?
おかしいな──
おうちのお仕事が終わったら
小さな子たちと遊ぶ約束だったのに、
気が付いたら
お外はもう暗い──
あ、なるほど!
知らないうちに──
日が入るのが早くなり
夜はすっかり長く──
こわいこわい真夜中の時間も長くなってしまう。
これからは、おいかけっこや
お庭でのおままごとじゃなくて
家の中で暖かい部屋で
みんなと遊ぶのを考えなくちゃ──
と、それはともかく。
お楽しみのハロウィンが終わっても、
季節の服の出し入れや
秋ならではの食材を使ったご飯の支度、
お菓子の食べすぎも見張って、
それに最近は日差しもよく
洗濯物がはかどり、
そして子供たちが汗びっしょりで帰って来ると
お風呂に入れてあげたり──
なんだかんだで
お仕事はたくさん。
あまり遊んであげられないのはかわいそうだな──
氷柱ちゃんに相談したら、
もっと人を頼ればいいのにというけれど
それもあんまり得意なほうではないし──
夕凪ちゃんが言うには
いつも働き者なんだから
一日が二倍や三倍になる魔法で
たくさん遊んだり
デートをしてもいいはずだって!
それは──魅力的な提案ですね!
魔法はできないけど、がんばって覚えようかしら。
でも、騒がしくなってばたばたしがちだけど
ポカポカ陽気の日はいいですね。
あんまり難しいことは
できない春風だから──
せめて、日向ぼっこをして
のんびりする時間を取れたらと思います。
まいにちやりたいことをして、
かわいいみんなとも、よく遊んで──
空いた時間にこの日差しの下でまったりなんてぜいたくができたら
春風はそれが一番いいのに──
できるかな?
あ!
宿題も先に済ませておかないと。
いつもばたばたすることは多く、
やがて静かな夜はどこまでも長く──
いま、秋から冬を迎えようとしている春風がいます。
あとで雪景色の落ち着いた部屋で
思い返した時に──
後悔のない日々を送れているでしょうか──?
何もわからないまま──みんなといる日を、夢中になって過ごしています。