綿雪

『メアリ』
よく食べ、
よく遊んで
良い子は丈夫に
大きく育つ。
ユキは──
いつも、なかなか
体を動かしたらいけなくて──
横になって休んでいないといけない日が
多いから。
何かに変身できるなら──
一年に一度くらい──
たくましく
へこたれず
風邪もひかないで
力持ちで──
それで、できれば
心は優しく
みんなを愛そうとするような、
そんなふうになれたらいいと思います!
少しくらい
ごつごつで筋肉が目立っても、
腕が太くなってかわいい服が入らなくても、
いいの!
魔法のような日だけは
ユキは見た目で少し怖がられるようになっても──
ほんとうは、中身はいつもの
みんなのことが大好きな──ユキでした!
それでいいの。
でも、ホタお姉ちゃんが
寸法を合わせたりしてくれて、
やっぱりあんまり
似合わないみたいで、
かわいいほうがいいんじゃない?
そっちがおすすめだって。
がーん!
このままでは、ユキはわかりやすく
白くお化粧した肌と、着物の下には暖かく着込んだ
雪女になってしまう。
深い山の中で
ひっそりと──
正体を明かさず、姿を隠すようにしているの。
そこへ──ある日、ふもとの村の冒険心の強い若者が──
なんちゃって。
いろいろおねだりをしてみたって、
ほんとうは──
みんなでわいわい言いながら過ごせるこの毎日が
ユキは幸せ。
何かすごいものになんてなれなくたって──
こんなふうに、楽しい日がずっと続けばいいのに。
でも、せっかくなら
にぎやかでおいしそうなハロウィンのメニューを
もりもりと──
とまではいかなくても、しっかり食べて
早く大きくなれたらな!
それから──できれば、丈夫なおばけじゃなくても
風邪をひかないようにして過ごしたいです。
暖かくして──夜は早く休んで、
おうちのお手伝いもいっぱいしながら
寒い季節の準備をして──そんなふうにできたらいいと思います。
何かに変われるのなら、ユキは本当は──そうなりたいな。