ヒカル

『またしても』
あ!
まただ!
小さい子がお手伝いで済ませるはずの
掃除や洗い物が
あとまわしになっている──
原因はわかっているんだ。
連休の間は
いつも家族の誰かがいて、
一緒に歌いながら
協力をしては、
人手に助けられてすぐに終わらせて
また遊びに出たものだった──
今になって、一人でやらないといけなくて
さみしい思いをするのは
なかなか大変なものがあるだろう?
そりゃあ、やらなくちゃいけないし
次第に慣れるものなんだろうけど
私たちが小さかった頃も
にぎやかな毎日が──また用事の多い日常に戻っていくと
物足りないことが
あるっていうのは──
よくわかるんだから。
そんなに厳しくは言えない気がするんだ──
こういうとき、ごほうびがたくさんあって
お手伝いをしたらおやつが出るとか
一緒に遊んであげられるとかだといいんだけど、
やっぱり連休明けは
みんな用事がたてこんでいる人が多いから──
私だって、部活動の助っ人で
あちこちに顔を出すことが多いからな。
うーん──
せめて、同じくらいの運動ができて
代わりになれて
もし入れ替わってもばれないくらいの
ちょうどいい人がいたらと思うけど、
そんな都合のいいことは
なかなかないもんな。
連休中に、いっぱい体を動かして遊んだけど
私のスタミナにそれなりについてきて
しかも、まわりのみんなにも目を配って
ちゃんと世話を焼いてあげられる人は
オマエくらいしかいなかったし──
……
入れ替わったら──
ばれるよね──
家族のことをゆっくり見ていられる時間は
そう簡単には作れそうにないな。
私たちって、背格好は似ているんだよな。
──もしかしたら、
いや、さすがに無理かな。
やめておこう、こんな話が着せ替え好きの蛍あたりの耳に入ったら
どうなることか。
オマエも忘れていいんだぞ。
忘れるべきだ。
それがいい。
さあ、明日は少し早めに帰れるといいな──