ヒカル

『奥義』
今日も家の中は賑やかだった。
お兄ちゃんに遊んでもらいたい妹たち、
おなかをすかせて雛が鳴くような声、
いたずらをする子たち、
世話を焼く子たち、
なんでもいいからかまってもらいたい子たち。
オマエも毎日
大変だな!
男だから
まだいいのかな?
私も鍛えているほうでは
あるから
手伝えることがあったらいいんだけど──
やっぱり人気があるのはお兄ちゃん。
優しそうな目が
いいのかな。
この家に来た時に
ああ、きっと
まだわからないことが多い相手だけど
心配いらない
気がするな──
そう思ったあの時の目は
まだ変わらないままかな?
どれどれ?
やっぱり人間を観察するときは
なんといっても
目を見るといいよ!
って、聞いたこともある……
剣を構えた達人の
面を透徹して突き刺さるような
眼光の凄まじさ。
全身から立ち上る気迫。
遠当ての合気と
音もなく地を滑る足さばき。
家族を思うことの達人も
目つきだけでなく
一挙一動がまさにと感じさせるものであるに
違いない!
あ、私も家族なら
達人の技を知る機会があるということ
だろうか……?
ぜひ一手お手合わせ!
なんてね。
明日も大変だろう、
きっと頼ることも多いと思うから。
ゆっくり休んで。
そうだ、疲れを残さないためのマッサージなら
達人じゃないけど
私も多少は心得がある──
腕を見せてやってもいいぞ!