春風

『一緒に』
お天気が不安定で
ときどき寒いけれど──
私たちは、もっと厳しい冬を越えてきたというのに
あの頃はいったいどうしていたんだろう?
必要な知恵がどこかへしまいこまれたのでしょうか。
それとも、あまりにやさしい春が来て
すっかり弱くなってしまったのかもしれない。
いつのまに
こんなに──
寒いのが苦手になっていたのかしら?
あっ、思い出したことがあります。
もしかしたら
あの恐ろしい冬の間は
いつもあなたが同じ部屋で
そばにいて──
そしてもちろん、みんなもいて
ずっと身を寄せ合っていたのが
寒くても大丈夫だった理由だったようなの。
いつでも愛する人のことを思い、
ずっとそばにいて
これからも永遠に離れないと誓うこと──
あなたが隣にいたから
頼りなくてお姉ちゃんらしくない春風でも
あの冬を──
みんなを励ましながらいられたのです。
なーんだ、それなら
今日もまたすぐに会いに行けば
胸はポカポカ、
頬もすっかり暖かな色に染まって
不安も悩みも
どんな怖ろしい季節も何もかも
すっかり解決してしまいます。
私たちの王子様がいてよかった!
愛しています。
いつもあなただけを──
この具沢山カレーもあなたに食べてほしいと祈りながら──
ああっ、つい鍋から気がそれて
吹きこぼれそう!
火を使うから危ないのに、本当に仕方がない春風です。
しゅん──
こんなふうに私を染めてしまうのは
私の王子様ただ一人だけなのに──
私を変えるのはあなたしかいないのに、
あなたはいつもみたいに
優しく笑っているなんてずるいです──
こんな気持ちの時にどうしたらいいか、
同じ胸のときめきを抱いて──
冬の寒さがなくても寄り添って、もっと近くで話したい。
もしも、もしかしたら
春風をこんなふうにぼんやりさせてしまう気持ちの対処法を
すてきなあなたが知っているとしたら──
それを教えなくてはいけないはずではないですか?
あああーっ、またぼんやりするところでした。
今夜のメニューは体が温まると思います、楽しみにしていてね。
私の一番愛する王子様──春風は、どんな季節もあなたの一番近くに
いなくてはいけない気がするのです。
いけないですか?
ううん、かまわないでしょう──?