『ハーモニー』
どんな天気の日も──
萌木色の季節がやって来ても、
今日は冷たい風が強い日で
家の中で過ごす時間が長かったわね。
いくら小さい子供でも
無理はしないものだって
そろそろ学習してきたのかしら?
あるいは、もしや──
ただ偶然、家の中で
跳ねたり踊ったりしながら
過ごしたい気分の子が
多かっただけだというのかもしれない。
もう私は子供ではないと思うから
寒いくらいで構わずにはしゃぐみんなの気持ちは
何一つわからないのだけれど。
いえ──もっと昔から
そんなに無邪気な子供ではなかったと聞くけれど、
まあいいわ。
あなたも聞いた?
どこかで聞いたことのある歌。
全然知らない歌。
明らかに今この場で生まれた
予想も超えてく展開やら──
暖かい部屋の隅に潜んで隠れようとしていても、
絶え間なく押し寄せて
近づいてくるのは
軽快な足音──
伸びてくる手のひら、
いつも明るい笑顔。
私なんかでは──
近づけそうでまだ遠くって
知らないままの
みんなを楽しませるにぎやかさ。
いいんじゃないの?
うるさくて大変でも、
居心地の悪い子がいても、
お手伝いが後回しになって
怒られていても。
歌い踊りだした子供たちを止めることは誰にもできないわ。
毎日が特別な盛り上がりの瞬間──
私がそれに付け加えることの
ひとつもあるのかしら?
今日もよく遊んで、
どこで生まれて
どこから連れてこられたのか知らない歌を
たくさん覚えた気がする。
私にそんなもの教え込んだって何にもならないと思うわ──
明日はみんなが外で遊べる日になるといいわね。
耳を離れないフレーズは
明るいのも
切ないのも──
いつか消えていくのかもしれないけれど
それは私の知ったことではないわ。
またみんなと一日を過ごしたというだけのお話の
ほんの少しの耳に残るおまけ。
──今日もありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。