立夏

『寒い時も』
さむいぞー!
心なしか、汗だくになって運動する海晴お姉ちゃんも
今日は快適そう。
それともあれは慣れてきたのカナ?
でも、この前も慣れてきたって言って
翌日は筋肉痛で大変そうだったもんな。
とにかく、寒いからって
この世界の人は誰一人として
じっとしていられないの!
雨がぽつぽつ降るか降らないか
見極めて──
走ったりボールを投げたりしなくっちゃ!
家の中もいいけど
それだけだともったいない気がする時だって
あるからね!
それに──
ほら。
バドミントンで夢中になって
だんだん距離が離れて
遠くに行ってしまっても──
届くかどうかもわからないシャトル
風を切って
うなりをあげて
きれいな弧を描いて──
曇り空を横切っていく。
こんな体験ができたなら、
世の中のことは
なんでもうまくいく気になって来る。
みつからない
靴下の片方のことも忘れている──
そういうものだ!
ちょっとやそっとじゃ
動き出す子供は落ち着かないし、
こんなに爽快な気持ちは
世界のどこにも
なかなかないんだから。
寒くたって
立夏は楽しく過ごしている──
こんなにいいことができるなら
何があってもどんな日も大丈夫だとわかるの。
あ、そうだ!
他の子も誘って遊ぼう。
今日も落ち込むことがあった小雨ちゃんや、
いつもなんだか難しい顔をして考え込んでいる
麗ちゃんだって──
一緒に遊んでいればみんな忘れて
ゆかいな気分だけが残るに違いない──
そういう気持ちがあるっていうことをもう
立夏は知っているのだから。
みんなに伝えられないはずがないのだから──
さわやかな音を残しながらシャトルが行き
また戻ってくる。
みんなが面白がって見てる。
寒くてもやめられないな──