立夏

『今日も明日も楽しいこと』
大きな嵐が
この街にも雨を降らせて
夜の間から風も強く吹いたというよ。
立夏が見たのは
厚い雲の下の朝、
音を立てて吹き抜けていく強い風。
怖がりのみんなが
ぎゅうぎゅう抱き合って過ごした朝と
その後の──
すっきりと晴れた日差しの景色。
雨の匂いが残って
まだどこか冷たく──
色の変わり始めた葉っぱがしずくを落とす
吸い込む呼吸も
もう涼しくやさしくなった空気。
なんだかもう
季節はすっかり秋って感じで
雨が降らないとまだ半袖でいられそうなままの
のんきな立夏
ようやく季節の移り変わりに気がついて
おどろいたというよ。
えっ!
いつのまに?
おろおろしている
とまどい──
こんな気持ちを
なんだか、誰かに聞いてもらいたいようでもあり
今さらのような気がして
恥ずかしくなりそうでもあったり──
めずらしく静かに
景色を眺める立夏
よそから見ると
元気がないみたいで──
まるでおなかがすいているみたいなんだって。
毎日ちゃーんと食べないとね。
それに20時からの
可憐ちゃんの生放送や
それからにぎやかにお風呂に入って並んで歯を磨き準備したあとの
ラブライブ第2話もあったし
こんなに面白いことばかりで
体力がないともたない!
きっと、むだにあわてず
大事なときにエネルギーをとっておくように
雨のあとの街が
立夏に教えていたに違いない。
立ち並ぶ大きな木も
もうすぐ見ごろを迎えるから
あわてないようにと──
落ち着きがない立夏
乙女のようにさせる
すごい季節。
またきれいな色に変わる特別な瞬間を
大好きな人と見られるように
いつもオニーチャンと並んで歩けたらいいね。