立夏

『登場?』
じゃじゃーん!
立夏だよ。
しってる?
季節はもう秋。
11月。
今年もだんだん
終わりに向かう。
この時期は
もう──
雪が積もるのを待つように
立夏がぴょこぴょこ
はねまわり、
おにいちゃんの周りを
汗かき走る
朝も夕も
暑苦しくないかも
しれないということ!
うー、わんわん。
よくなつき
よく言うことを聞く
それなのに──
オニーチャンを見たら
マテの命令だけは
しらない、
その時だけはただ
とびかかるだけの生き物──
果たしてこの子は
芸を覚えない
悪い子なのだろうか?
いや、ちがう。
好きな人に
大好きと伝えるために
生まれたとしか
思えないのだ!
他の何も
考えられなくなるほど。
今日はみんなで帰る下校時間、
楽しかったねえ。
ユキちゃんまでが
スキップをすると
立夏は思うように踊りが踊れなかったけど
それでもぜんぜん問題なかった!
そもそも道で踊らない?
ところが──
立夏は少しだけ
足が弾んで
汗かいて──
でも、今の季節なら
くっついても
あんまりべとべとにならないでしょう。
今のうちに
たくさんオニーチャンと帰らないともったいない。
いつもより、もっとそばに近寄らないと
もったいない──
冷たい風が吹き
手がかじかむ頃、
立夏の楽しみは
ひそかなうちに
ひとつ増える──という。