海晴

『トルネード』
今日はちょっぴり風が強くて
よく晴れた割りに寒い日になったわね。
お天気お姉さん泣かせの今時の気候。
春が近づいているのを実感できるのはいいけれど
いよいよ春物でお出かけできる日でしょう!
みたいなことを言って寒かったら申し訳ないし
冬物を押し込んだタンスの入れ替えが大変でしょう!
とか言ってしまってつい私生活がばれたり
がんばって短めのスカートで妹たちに対抗しても
震えないですむでしょう!
などと冬の間隠し通していた秘密を明かしてしまったりも──
えっ? ばればれだった?
またまたー。
そんなー。
そういったわけで
キミも風の寒さには気をつけてね!
ぽかぽか陽気に一枚脱いだ上着をさらわれる
なんてことが
汗っかきの立夏ちゃんの他になどないように。
そもそも立夏ちゃんくらい
生まれつき元気の神に愛されているか
太陽から生まれた子供みたいに
気温が上がるとうきうきしはじめて
ミニスカートはめくれてこそ上等、
恥ずかしがる自分との戦いこそがおしゃれの肝だと
わけのわからない理屈であふれる活力を説明するよりは──
一番かわいいファッションに身を包んで
それでも決してスカートがめくれ
完璧な着こなしが乱れることはないように
毅然と胸を張って
多少は風がいたずらをしても気にすることなく
きりりと理想を見つめるまなざしを崩したりしない。
きれいであるためなら
強い風と戦い続ける強い乙女スタイルのほうが
私に合っている気がするな。
でも結局、美しさのためならと
何かを相手に戦っている──
そういうものなのかもね。
明日は金曜日だから
週の最後のお天気お姉さんのお仕事。
ここで気合を入れないわけには行かない!
──そんな気分に勝手になっているので
風が吹いても雪が降っても
自分の求める理想を信じる乙女は
ちょっとかわいい格好をして出てくるから
もしよかったら早起きをして
元気な妹に負けられないお姉さんを応援してみるのもいいかも。
チャオー!
なんちゃって。
早起きするなら、風邪をひかないようにあったかくしてね。
土日はいっぱい私が側であたためてあげるんだあ。
待っててね。