『王者の風格』
アピールタイムの一人当たりの時間が少なくなった思わぬ展開も
立夏ちゃんにうまく調子に乗せられて出場することになった氷柱ちゃんとの
非情な姉妹対決も乗り越えて
愛の力たったひとつで王冠をつかみ取り
お米を持ち帰ることができても
少し物足りないみんなが開催した
この夏休み本当に最後の
おうちミスコンでは
最後の最後であーちゃんにはかなわなかった春風は
今日から王子様と一緒に通う学生生活のまた新しい一歩。
さすがあーちゃん、
その強さの秘密とは?
春風は小さくかわいく世界一愛しい妹からまだまだ学ぶことがある学生なので
良い子でお勉強をはじめるのです。
王子様もこの夏にやり残したことなんてなく歩き出すことができそうでしょうか?
もしも、春風ともっと作りたかった思い出があっても
光の中ではじけてきらめく夏はもう過ぎて
これからは実りの季節。
いろんな果実をつけて大きくなるまで二人で見守る日々を
あなたは春風と迎えたのだから
そのつもりでいてもらわなくてはなりません。
涼しい風を受けて少し大人になった私たち。
気持ちも秋の装いで
はりきっていきましょう!
なんて次の出発を楽しみにしていたら
なかなか思った通りには行かないらしくて
なんと早々に台風の襲来だなんて!
激しい雨と風が
嵐を前にした小さな日本列島を駆け抜けていく。
私たちの学校は、明日の朝に休校になるかどうかの連絡があるそうです。
もう小雨ちゃんたちの小学校はすでに休校が決まっていて
どうやらこれは私たちもオーケストラで鳴る響く運命の音に身を任せ
いきなり波乱を含んではじまった新学期に
覚悟を決めなおして立ち向かうことになりそうです。
長く短い夏に一生懸命築き上げた絆が早速試されることになるわ。
恐ろしい嵐でも震えているだけではいられない。
王子様、どうかこんなに小さな春風の手をとって導いてください。
やらなくてはいけないっていう気持ちだけの乙女を落ち着かせて
これ以上不安が膨らんでしまわぬように
いつもの優しい瞳をすぐ近くで見せて。
励ましてね。
本当は王子様を支えていける春風にならなければいけないのにね……
ではこういうのはどうでしょう?
おうちミスコンのいちばんの賞品に用意された
暑くて大変だった夏のごほうびに
王子様を抱きしめてエネルギーチャージする権利を
あさひちゃんが全力で使いきったのと同じく
たまにはおうちでも世界で最高のミスターコンテストでも開催して
優勝者には誰か一番に思いを寄せる人を
一生懸命に抱きしめる権利を奪って行ってもらうというのは。
わずかに残った夏バテなんてすっきり吹き飛ばしてくれそうになる
なかなか悪くない提案でしょう?
春風、あなたのためにがんばって考えました!
優勝が誰かなんてちっとも疑うまでもないけれど
でも、それでも春風はいつだってただ一人だけを全身全霊で応援しているの……
だから王子様はひたすらに
これからはじまる喜びの季節に
いま頭の中に浮かんだ人をさらうことだけを考えてくれればいいんだわ!
春風、自信があるもの。
本気です。