さくら

『うんどうかいのおしらせ』
ふうふう汗をかいたおひるをすぎると
ひゅうぅーと音がして
さくらはふるえる。
そうすると、なんと
いっぱい走っても
いっぱいれんしゅうしても
ものすごくかけっこが上手になったつもりでも
こころぼそくなってしまうの。
もしかしたら、そんなに上手ではないのかな。
そういえば、さくらはだれもひとりたりともおいぬけないで
ひとりではしゃいでいただけだったねって
よろこんでいたさくらの体がひえるのをまっていた
つめたいかぜが
おしえてしまう。
にちようびは
ようちえんのうんどうかいですよ。
さくらはね!
かけっこがとくいな
ヒカルおねえちゃんと
にげあしのはやい
りっかおねえちゃんと
かっこいい
お兄ちゃんにね、
いっしょに走ってもらって
なんだかこのごろは
かけっこがだいすき。
たのしい。
なんだけど……
大きなせなかをおいかけるのが
すきなだけでは?
ふりむいてこっちを見てくれるからいいのかな?
たのしくても
おいぬけないの。
だれも
さくらのよこと
うしろを走らない。
めのまえにむかって
夕方にさくらが
みんなをおいかけて走る。
まってー!
さくらをおいていかないで!
きのうよりも少し
足がはやくなったよ。
それでもね
いちばんもとれないし
ちっとも
ぜんぜんおいぬけない。
くすん。
ごはんをよくたべたら
ちからがつくってほんとう?
お兄ちゃんにおうえんしてもらったら
げんきがでるってほんとう?
さくらはもりもりたべたくても
ごはんはとちゅうでおなかがいっぱいでかなしくなるし
お兄ちゃんのこえがしたら
うれしい! って
そっちにとんでいくの。
どうしよう?
うんどうかいはもうすぐです。
さくらが泣かないうんどうかいになればいいな……
お兄ちゃんもようちえんに見にきてくれるのでしょう?
はれたおそらを見ながら
おひるごはんをいっしょに食べましょうね。
さくら、ようちえんのことはよく知ってるよ。
ひあたりのいいおにわも、つみきのばしょもピアノのところも
どこでもあんないしてあげる。
わあー、うんどうかいっていそがしいな。
……かけっこから
にげるわけじゃないよ。