『星の夜』
学校の用事で
遅くなってしまって──
日が暮れるのが早いこの頃は
星が輝く時間もだいぶ早く──
暗い道に気を付けながら歩く途中で
つい気が付いて
立ち止まってしまうほど、
きれいな一番星──
それを追いかけて、徐々に灯り始める明かりが
少しだけ私の帰宅を遅らせている。
これでは、暖かい家で待っているみんなに
また心配をかけてしまうのに
まるで星空の下で生まれて
ずっとここで育ってきたみたいに、
冬の澄んだ夜空に包まれていると
落ち着く気持ち──
とらわれて帰れなくなる
蜘蛛の巣のように──
銀河は網を張って待ち受けていた。
育っていく乙女の感受性を──
絡めとられるのを望む甘美を。
想像力と物語の檻を
夜の黒色に広げて、
光っている──
それは、とても心地が良く
まるで終わりを忘れるような道のり。
寒さもなく
一歩先の足元も消え去る
上下を知らない迷路だ。
どうもこれでは
困ってしまうな。
冬の星がまぶしいだけで
天使家の20人きょうだいの次女は
家にたどり着けなくなってしまうのだ。
誰かが助けに来てくれたら──
手を取り迎えにやって来たなら──
普段の何気ない日々に
一緒に過ごすと約束したことを
思い出す手助けになるのなら。
星の光が差す
冬の帰り道も、何も悪さをしないはずなのに。