綿雪

『暖かい日』
ときどき吹く風はまだ冷たいけれど、
ぽかぽか陽気で
ゆっくり過ごせる──
今日もとっても暖かくていい日でした。
ユキの体は、このごろそんなに調子も悪くない。
みんなといられて
まるで、どんどん元気を増していく小さな子たちに
つられているみたいに──
日に日にあたたかくなる季節は
いい影響をユキにくれている。
このままでは、
すっかり体も治って
春にはみんなと並んで駆け回るに違いない──
でも、小さい子が元気すぎて
お姉ちゃんたちは困っているんだって。
どれだけ遊んで
相手をしてあげても
全然終わらない要求──
もっともっと、
ずっと一緒に
いてください──
せっかく暖かくなって
何をしても楽しい季節が来たんだもの。
もう、子供の元気さで
追いかけられたら
誰も、どこにも逃げることなどできない──
日の当たるお庭に
手を引っ張って連れ出され、
一緒に遊んでもらえると
疑いもしない輝くまなざしで
こっちを見て──
それもこれも全部
いい陽気が原因なのだと
氷柱お姉ちゃんは笑います。
春のせいなら仕方ないか──
大変でも──
汗をかいても、
みんなで一緒にいるしかないですものね──
ユキのお部屋は、
今はときどき空になって
お迎えする人が誰もいないことが
あると思います。
その時は──
ユキが大変そうに
子供たちに振り回されているところを
想像してもいいよ。
そんなふうにしながら
お部屋で待っていてくれたなら、
そのうちすぐに戻ると思います──
とてもいい春の陽気をいっぱいに浴びて
ほかほかになって
笑いながら戻るのだと──きっとユキは思います。