『最後の秘密』
ふむ──
これは──
ママのアルバムはいつも人気で、
ここ最近はよく
開いたアルバムの周りに集まっているようだ。
生まれたばかりの
あさひによく似た顔のママから──
小学校の運動会で活躍した時の顔、
卒業式のおすまし顔。
制服を着て──
私たちと、同じ行事を重ねている。
体育祭も文化祭も、
いつもまわりに人を集めて、
みんなの中心にいる。
かと思えば──
ピアノやそろばん、
習い事に一人で熱心に打ち込む横顔も
そこにあって──
どの写真を見ても、
私たちのママだな!
あのたくましくて
人騒がせで、
そして──いつも変わらず
エネルギッシュにみんなを愛している
いつもの姿だ。
まぶしい青春の日々に、
少しくらい若くたって
誰も見間違えたりしない。
そこにいるママをいつも発見できる──
もの思う秋の毎日に、
子供たちの──参考になったかな。
それにしても、誰かが期待していたような
ロマンスはここには発見できなかった。
パパとの出会いは──まだ先なのだろう。
将来を考える子供たちに、
結婚相手を見つける方法だけは教えてくれなかったが、
まあ──それは本人に聞くしかないのだ。
あのママから──手練手管に限りがないと言ったような人から、
そう簡単に期待通りの話を引き出せるとは限らないが、
それも──大人になって
対等に渡り合えるような力が付いたら──夢ではないのかもしれないな。
というわけで、そろそろ約束の期限が来て
私が届けるようにと言われた。
うん、このところ空模様が不安定だから
なんだかんだのらりくらりと言い訳をして先延ばしにしたいものだけど──
はたして私の口先三寸がママにかなうかどうか、
それはわからない。
やりだけやってみることにする──
と、そこで見つけたのが
このページだ。
アルバムの終わりの方に、
なぜか──めくっていくと
微妙な違いを感じる。
わずかに──他のページと比べて、重さがあるような──
これでは、まるで──
もしかしたら──
いや、万が一、面倒なことに巻き込まれでもしたら大変だ。
何も見なかったことにしよう。
ママの歴史に
ほんの一ページくらい──
誰も知らない場面があったって、面白いかもしれないだろう。
誰も──? 誰一人として?
いや──あるいは──