吹雪

『虫籠』
今日も青空の虫取り網は
活躍していました。
暑い日差しの下でも
風の吹く夕暮れも
虫を見かけて
おどろいたら
いつの間にか青空が
背後にいて──
たちまち虫籠の中は
にぎやかになってゆく。
汗をかき
お腹をすかせたくらいでは
青空が立ち止まる理由にならないようです。
ときどき触れる
あの体温の高さから
子供の体はいつも
活動を続けるようにできているのだと──
そう感じさせます。
あの活力をデータにして
応用することができれば──
そういえば蛍姉から聞いたようですね。
愛に関する数式についてを──
私がただ単純に
xは現在において未知数であると想定し
そこにレモン味を見つける可能性は常にあると
説明した内容の通りです──
それは青空の体内のように
まだ見ぬ変化が起こり続けていることでもあり、
いっぱいの虫籠のように
何が入っているかわからないと──
未知数と定義されるxそのものである限り
確定した瞬間に
未確定に姿を変え
常に解明を求められ──
不明であるということに関する研究は続き
やがて気象学のように膨大なデータによって
わずかに予測が可能になるかもしれない──
それが現時点の未解明であるということです。
研究は一歩一歩
進み続けています。
私だけでなく、愛を知ろうとするすべての人間の
科学的なアプローチによって──
虫籠とカオス理論と
愛の正体の何が違うのだろう?
青空の高い体温に
そのようなことを考えた日でした。
研究は続いていきます。