綿雪

『夏の出会い』
今日も子供たちが
お庭で捕まえてくる
あんな虫こんな虫
大きいのや
小さいの!
草をかき分け
枝を眺め
体中を使って探す
あのすごい力。
子供たちの心を
こんなにも引き付ける──
見慣れた虫も変わった虫も
すごいのばかり。
あまりお外に行けないユキのところにも
たくさん見せに来てくれる
汗びっしょりの
みんなの笑顔──
土の香りやお日様の香りが
いっぱい届くみたい。
ねえ、お兄ちゃん。
お外にはあんな風に
こわいのやかわいいのや、
それはもうたくさん
いるってほんとう?
たった一枚の窓ガラスの向こうに
ひしめくような
命の楽園があるということを
聞いてしまったの。
そうなの──?
でも、クーラーのきいた
ユキのお部屋で
一息ついたような
安心した顔になってくれるのは
この静かな家の中だって
子供たちに必要な
重要な秘密があるのかも──
ユキのベッドの周りには
薄くて軽い夏用の掛布団一枚で
よく眠る小さな子供と
虫でいっぱいの虫籠──
どうか長生きしますように。
なんだかユキもはしゃぎすぎて
少し疲れたかもしれません。
ほんのちょっとだけ──お休みしますね。
目を閉じてそのあとは、
きっとすぐにまた
にぎやかになるはずです。